2ユーロでTシャツを買える自動販売機。誰も買わないその理由とは?

   by Tsuyoshi Mizushima        
2ユーロでTシャツを買える自動販売機。誰も買わないその理由とは?

ドイツ、ベルリンの街中に突如現れた自動販売機。Tシャツが2ユーロ。とってもお得。その安さが目を引き沢山の人の足を止める。しかしそこには、ある仕掛けが。

コインを入れボタンを押すと・・・

縫製工場にて働く女性の映像が現れます。この女性はマニーシャさん。なんと一時間13セントで一日16時間労働。13セントは日本円で16円なので、一日働いて256円の収入です。2ユーロで売るために過酷な労働環境によって作られている事実を知ることとなります。

ショッキングな映像に、息を呑む人たち。20秒間様々な映像と情報が流れた後、次の画面には、

「買う」「寄付」の2つの選択肢。多くの方がためらうことなく寄付を選んだそうです。
2013年4月24日バングラデシュの首都ダッカ郊外で「ラナ・プラザ」という、商店や縫製工場などが入った8階建てビルが崩壊しました。死者は少なくとも200人以上、負傷者は1400人以上にものぼるという大惨事。自動販売機が置かれた真の目的は、安価な衣料品生産を支える劣悪な労働環境を記憶に留めるために始まった「FASHION REVOLUTION DAY」の啓蒙アクションの一環として。設置された当日は150人の人たちの約90%が、寄付を選びました。自動販売機のモニターには、最後にこのようなメッセージが流れます。
「世界が忘れないように、あなたの力を貸して下さい。ファッション革命を始めるために、シェアして下さい」。
このアクションにて何を感じるでしょうか?とてもインパクトのある、また考えさせられるアクションでした。(※寄付の良し悪しはおいといて。)商品そのものよりも、その商品の背景を知ることによって「消費行動」に明らかな変化が生まれました。もし、背景を何も知らなければ、多くの方が「安い、お得」という理由からその商品を手にしていたことでしょう。「消費行動」は、言い方を変えると「投票権」です。過酷な労働環境にて、人を人扱いしない経営を続ける会社へ投票(支持)する行為。知らないって、怖い。そして罪にもなる。そう感じました。
このFASHION REVOLUTIONのグローバルな活動はたくさんの共感を生み、世界100カ国以上のチームが存在しています。2014年から2020年の間に、世界中の何百万人もの人々がブランドに「誰が私の服を作ったのか」という質問に答えるよう求めました。
「だれが、どのように〇〇をつくったのか?」。目の前にある恩恵は、もしかすると誰か(何か)の大きな犠牲によって成り立っているのかもしれません。持続可能な社会づくりには、 ”消費者の持つ投票権” がとても重要である。そう強く感じました。
「たくさんの、出来ること」がありそうです。最後まで、お読みいただきありがとうございました。FASHION REVOLUTION自動販売機のYou Tube動画です。ぜひ、御覧ください。

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