スポーツを見ることが健康につながる?

   by Kenta Watabe        
スポーツを見ることが健康につながる?
先日まで、世界陸上選手権2022オレゴンや、ゴルフ全英オープン、サッカーパリサンジェルマン(PSG)日本ツアー2022が開催され、地上波やサブスク動画配信で視聴することができました。私は、スポーツが大好きなので7月14日からは寝不足になりながらも熱狂し楽しい時間を過ごすことができました。みなさんもテレビの前で熱狂していたのではないでしょうか?
今回の記事では、タイトルにも書いてある通り「スポーツを見ることが健康につながる」というテーマについて書いていきます。

スポーツを見ることが心身に与える影響

テレビドラマの追いかけられるシーンや格闘シーンを観てドキドキしたり、スポーツ中継でも「手に汗握る」という言葉を聞くことがあると思います。どちらが勝つか分からない大接戦に興奮している様子を表していますが、「手に汗握る」というのは単なる比喩表現ではなく、見ているだけでも、試合の興奮や緊張で、汗ばんでいることがあると思います。実際にプレーしている選手ほどではないにしても、見ているだけの人間も、血圧や心拍数、ホルモン値などが変化しているそうです。
米シラキュース大学のアラン・メーザー教授によると、テニスや柔道で勝利した選手は、試合後に男性ホルモンの一種であるテストステロン値が高まると述べられています。このテストステロンは、競争をするときに上昇し、勝者はテストステロンの上昇が維持されます。このテストステロンの上昇と上昇の維持は、スポーツを「する人」だけでなく、「見る人」にも当てはまります。1994年のFIFAワールドカップ決勝で、試合を観戦した人のホルモン値の変化を調べた研究があり、この大会の決勝はブラジル対イタリア、0−0のまま決着がつかず、PK戦で勝負が決まった試合。ファンにとっては、これ以上ないくらい、ハラハラ、ドキドキする展開だったといっていいでしょう。米ユタ大学のポール・バーンハード教授のグループが、米国内でブラジルファンが集まったレストランと、イタリアのファンが集まったピザのレストランで、それぞれテレビで試合を観戦していたファン(両サイド合わせて計21人)の男性の唾液を採取し、テストステロン値を調べた結果、優勝したブラジルを応援していたファンのテストステロン値は高いままだったが、負けたイタリアを応援していたファンのテストステロン値はやや低くなっていた。
この現象を、「ミラーニューロン効果」といいます。
これは、他人の行為を自分の行為のように捉えて活性化する神経細胞群「ミラーニューロン」の働きによるものと考えられています。他人の行為と自分の行為が「ミラー(鏡)」のように同じ反応をするのです。「ものまね細胞」とも呼ばれており、上手な人の動きを真似ると自分も上達しやすいということで、スポーツのイメージトレーニングなどですでに活用されています。憧れの選手を真似ることでセルフイメージを高めたり、ナイスプレーを脳内で追体験することで擬似的な成功体験を得たり、テレビの前にいながらスポーツの効果を受け取ることができる素晴らしい効果です。

テストステロン(男性ホルモン)の効果

テストステロンは男性ホルモンの大部分を占め、その働きは多岐にわたります。筋肉量を増加し、太い骨格やヒゲ、体毛を生やすなど男らしい身体を作るほかテストステロンと非常に密接な生殖機能の向上。そして肉体面・精神面の健康にも関与しています。
    テストステロンの効果
  • 性欲を上げる
  • 記憶力・集中力を上げる
  • モチベーションのアップ
  • 筋肉量アップと維持
  • 生活習慣病の予防、健康増進
  • 精神を安定に保つ
  • アンチエイジング効果
女性にとってテストステロンは「心の基礎化粧品」と言われています。
分泌量は男性と比べて少なく、女性は男性の10分の1程度です。しかし、エストロゲン(女性ホルモン)の代わりになることもありますし、心の活気や運動能力にも関係しているため女性にとっても重要なホルモンと言えます。

スポーツを見ることが高齢者に与える影響

テレビの視聴時間が長いことは、身体的な健康に悪影響をもたらすという報告が少なくありません。
国内高齢者対象の研究からテレビでのスポーツ観戦でも、うつレベルが有意に抑制される可能性を示唆するデータが報告されました。筑波大学体育系の辻大士氏らによる研究の結果であり、「Scientific Reports」に論文が掲載されました。
研究報告からテレビやネットでのスポーツ観戦の頻度との関連をみると、観戦の頻度が年に数回ではPR0.92(同0.86~0.98)、頻度が月に1~3回ではPR0.89(0.83~0.96)と有意に「うつ傾向あり」の該当率が低い。さらに、現地観戦では有意な関連が認められなかった、週1回以上の(最も観戦頻度が高い)群も、テレビやネットでの観戦の場合はPR0.83(同0.77~0.88)と、「うつ傾向あり」の該当率が有意に低かった。
自分自身がスポーツを週に1回以上行っているか否かで二分しての検討では、スポーツ実施頻度が週に1回以上の人では、テレビやネットで観戦する人はその頻度にかかわらず、「うつ傾向あり」に該当する割合が有意に少なかった。一方、自分自身のスポーツ実施頻度が週に1回未満の人では、テレビやネットでの観戦頻度が最も高く、週に1回以上の場合にのみ、「うつ傾向あり」の該当率が有意に低くなるという結果だった。
これらの結果を基に論文の結論は、「スポーツを観戦する高齢者は観戦しない高齢者に比べ、うつリスクが低いことが確認された。とくに、テレビやネットでの観戦頻度では用量反応関係が認められた。一般的にテレビ視聴については健康への害が強調されがちだ。しかし、うつとの関連では異なる側面を持つ可能性がある」とまとめられている。

家でスポーツを楽しみながら健康

11月末からはサッカーワールドカップも開催されます。是非みなさんも家族みんなでサッカー日本代表を応援して自分も元気にさせましょう!
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