SBT取得がなぜSDGs目標達成に貢献するのか?

   by kabbara        
SBT取得がなぜSDGs目標達成に貢献するのか?
SDGS SBT認定

はじめに

SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットからなる、世界共通の目標です。多くの企業がSDGs達成に向けた取り組みを推進していますが、その目標は多岐にわたる性質から、具体的な達成度を測ることは容易ではありません。そこで注目されているのがSBT(Science Based Targets)です。SBTは、科学的な知見に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するための枠組みですが、SDGs達成度を可視化し、目標達成への道筋を明確にする上でとても有効なツールとなります。

本記事では、SDGsとSBTの関連性や共通の目的やSBT導入がSDGs達成へ貢献できる理由などを解説していきます。

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サマリー

SDGsとSBTには、「持続可能な社会の実現」という共通の目標がある。

・SBTは、いくつかのSDGs目標の達成に貢献し、特に、目標7、9、11、12、13と密接に関連している。

・SBTは、SDGsの他の目標達成にも間接的に寄与している。

・SBTは、企業の事業活動全体に影響を与える可能性があり、その影響は環境面だけでなく、社会や経済にも波及する。

・SBTは、企業がSDGs達成に貢献するための具体的な道筋を示すことができる。

SBT(Science Based Targets)とは?

SBTとは、Science Based Targetsの略で、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。パリ協定で合意された「世界の平均気温上昇を産業革命前比で2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を達成するために、企業が設定する排出削減目標を指します。Science Based Targets initiative(SBTi)が認定する、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTiは、CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体によって設立された国際的なイニシアチブです。

CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体

SBTが重要視されている理由は、企業の脱炭素化への取り組みを客観的に評価できる指標となるからです。SBTを取得することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • ブランドイメージの向上
    環境意識の高まりとともに、消費者は企業の環境への取り組みを重視するようになっています。SBT導入は、企業の持続可能性に対するコミットメントを示すことで、消費者の共感を呼び、ブランドイメージ向上に繋がります。
  • 投資家からの評価向上
    ESG投資が主流となる中、SBTは企業の長期的な成長性を評価する上で重要な指標となっています。SBT導入は、投資家からの信頼獲得、資金調達、企業価値向上に貢献します。
  • 競争力強化
    SBT達成に向けた取り組みは、省エネルギー化、資源効率の向上、イノベーション促進など、企業の競争力強化に繋がる効果も期待できます。
  • リスク管理
    気候変動による事業リスクは、今後ますます高まることが予想されます。SBT導入は、気候変動リスクを早期に特定し、対策を講じることで、事業の安定化に貢献します。
  • 従業員のエンゲージメント向上
    環境問題への意識が高い従業員にとって、SBT導入は企業への愛着や誇りを高め、モチベーション向上に繋がります。

SBTは、企業規模や業種を問わず、あらゆる企業にとって有益な取り組みです。

SDGsとSBTは、どちらも持続可能な社会の実現を目指す取り組みですが、その焦点とアプローチが異なります。

SDGS

SDGs(Sustainable Development Goals)

SDGs(Sustainable Development Goals) は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」です。貧困、飢餓、教育、ジェンダー平等、気候変動など、世界が抱える課題を包括的に解決し、より良い世界を目指しています。17の目標と169のターゲットから構成され、各国政府、企業、市民社会など、あらゆる主体による取り組みが求められています。

一方、SBT(Science Based Targets) は、「科学に基づいた目標設定」を意味し、企業が気候変動対策として、科学的な知見と整合した温室効果ガス排出削減目標を設定するための枠組みです。パリ協定の目標達成に貢献するために、企業が自社の事業活動から排出される温室効果ガスの削減目標を設定することを支援します。

一見すると別々の取り組みのように思えるかもしれませんが、SDGsとSBTには、「持続可能な社会の実現」という共通の目標があります。SBTを導入した脱炭素経営は、いくつかのSDGs目標の達成に貢献し、特に、以下の目標と密接に関連しています。

なぜSBTがSDGs目標達成に貢献するのか?

SBTは、企業が気候変動対策として、温室効果ガス排出削減目標を設定するための枠組みです。パリ協定の目標達成に貢献するために、企業が自社の事業活動から排出される温室効果ガスの削減目標を設定することを支援している理由から、一見すると気候変動対策のみに焦点を当てているように見えます。

しかし、SBTは、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接的に貢献するだけでなく、他の目標達成にも間接的に寄与しています。例えば、SBTを導入することで、企業はエネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用を促進し、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にも貢献することができます。

また、脱炭素関連技術の開発により目標9「 産業と技術革新の基盤をつくろう」にも貢献することができることなど、間接的に多くの目標にまたがって貢献することが可能になります。また、SBTは企業の事業活動全体に影響を与える可能性があり、その影響は環境面だけでなく、社会や経済にも波及するからです。

SDGs目標達成への共通課題一覧

  1. 気候変動対策への直接的な貢献: SBTは、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接的に貢献します。地球温暖化は、異常気象、海面上昇、生態系の破壊など、様々な影響を及ぼし、SDGsの他の目標達成を阻害する大きな要因となっています。SBTは、企業が科学的な知見に基づいた排出削減目標を設定することで、地球温暖化の抑制に貢献し、SDGsの達成を促進します。
  2. 再生可能エネルギーの利用促進: SBT達成のためには、多くの企業が再生可能エネルギーの導入を促進する必要があります。これは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成にも貢献します。再生可能エネルギーの利用は、エネルギーアクセスを拡大し、エネルギー安全保障を向上させるだけでなく、大気汚染の削減や雇用創出にも繋がり、持続可能な社会の実現に貢献します。
  3. 資源効率の向上: SBT達成のためには、企業は資源の効率的な利用を促進する必要があります。これは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成にも貢献します。資源の効率的な利用は、廃棄物の削減、資源の枯渇防止、環境負荷の低減に繋がり、持続可能な生産と消費のパターンを促進します。
  4. イノベーションの促進: SBT達成に向けた取り組みは、企業のイノベーションを促進する catalyst となります。例えば、省エネルギー技術の開発、再生可能エネルギーの利用、サプライチェーンにおける排出量削減など、様々な分野でイノベーションが期待されます。イノベーションは、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成にも貢献し、経済成長と社会課題の解決を両立させることができます。
  5. 企業価値の向上: SBTを導入することで、企業は環境に配慮した企業として、投資家や顧客からの評価を高め、企業価値向上に繋げることができます。これは、SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成にも貢献します。企業は、投資家、顧客、NGO、政府など、様々なステークホルダーと連携することで、SDGs達成に向けた取り組みを加速させることができます。

SBT導入がSDGs達成度可視化に役立つ根拠

SBTは、科学的な知見に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するための枠組みですが、SDGs達成度を可視化し、下記のように目標達成への道筋を明確にする上でも重要なツールとなります。

SBT導入がSDGs達成度可視化に役立つ根拠

目標の明確化と進捗状況の把握: 

SBTは、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接的に対応しており、科学的な根拠に基づいた明確な目標設定を促します。これにより、企業は自社のCO2排出量削減目標を明確に定め、その進捗状況を具体的な数値で把握することができます。

 

データに基づいた客観的な評価: 

SBTは、客観的なデータに基づいた目標設定と進捗管理を重視しています。企業は、自社の排出量データを収集・分析し、SBTの基準に照らし合わせて評価することで、SDGs達成に向けた取り組みの現状を客観的に把握することができます。

 

長期的な視点での目標設定: 

SBTは、短期的な目標だけでなく、2050年までの長期的な目標設定を促します。これにより、企業はSDGs達成に向けた長期的な戦略を策定し、持続可能な社会の実現に向けて着実に前進することができます。

 

SDGs目標において具体的な達成度が測定しにくいというSDGsの難点を補うツールとしてもSBTは有効だということが分かります。

まとめ:SBT導入による相乗効果

まとめ:SBT導入による相乗効果

前述の通り、SBTを導入することで、気候変動対策だけでなく、SDGsの他の目標達成にも貢献することができます。これは、SBTが企業の事業活動全体に影響を与える可能性があり、その影響が環境面だけでなく、社会や経済にも波及するためとご理解いただけたかと思います。

SBTは、企業がSDGs達成に貢献するための具体的な道筋を示すことができます。特に、気候変動対策は、SDGsの他の目標達成にも不可欠な要素であり、SBTを導入することで、企業はSDGsへの貢献度合いを可視化し、より効果的に目標達成に貢献することができます。企業が持続可能な社会の実現に貢献するための有効な手段の一つと言えるでしょう。

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