その「エコ」、測れていますか?根拠なき「環境配慮」が信頼を失う時代

   by kabbara        
その「エコ」、測れていますか?根拠なき「環境配慮」が信頼を失う時代

サステナブルシューズブランドとして知られるAllbirds(オールバーズ)のサステナビリティレポート(Flight Status)をご紹介します。多くの企業が「環境に優しい」「エコ」といった言葉を掲げる中で、Allbirdsのレポートは一線を画しています。それは、徹底して「数字(データ)」で語っている点です。

本記事では、Allbirds サステナビリティレポートから読み解く、「実測値」公開がビジネスにもたらす真の価値としてレポート内容を振り返りつつ、なぜ今、企業が自社製品・サービスの1次データ(実測値)を公開することが重要なのか、その理由を考察します。

  • カーボンフットプリント削減率:前年比 22%削減
  • 製品平均カーボンフットプリント5.54 kg CO2e
    (一般的なスニーカーの平均は約14 kg CO2eと言われており、その半分以下です)
  • 輸送手段:インバウンド物量の96%を海上輸送に転換(空輸からの脱却)

これらは単なる目標値ではなく、実際に計測された「実績値」です。Allbirdsは、食品のカロリー表示のように、すべての製品に「カーボンフットプリント(CO2排出量)」をラベル付けしています。

なぜ「1次データ(実測値)」の公開が重要なのか?

Allbirdsの取り組みから見えてくる、実測値公開のビジネス上の重要性は以下の3点に集約されます。

1. 「グリーンウォッシュ」との決別と信頼の獲得

「環境に配慮しています」という定性的なアピールは、もはや消費者には響きにくくなっています。むしろ、根拠のない主張は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」と批判されるリスクすらあります。

Allbirdsのように、「この靴のCO2排出量は5.54kgです」と実測値をさらけ出すことは、逃げも隠れもしないという企業の姿勢を示します。たとえその数字がまだゼロでなくても、現状を正直に開示する透明性が、消費者からの深い信頼を生み出します。

2. 「計測できないものは削減できない」という現実

レポートの中で、Allbirdsは削減の要因を非常に細かく分析しています。 例えば、素材の変更(再生可能素材へのシフト)、工場の再生可能エネルギー使用率、そして輸送手段の変更などです。

これらは、業界平均値(2次データ)をただ当てはめて計算しているだけでは見えてこない領域です。

  • 「自社のこの工場での電力使用はどうなっているか?」
  • 「この素材をAからBに変えたら、具体的に何グラム減るか?」

このように自社のサプライチェーンから直接得られる1次データを持っているからこそ、「どこを削れば目標に届くか」という具体的な戦略(PDCA)を回すことが可能になります。

3. 業界全体の基準を引き上げる(オープンソース化)

Allbirdsの特筆すべき点は、自社で開発したカーボンフットプリント計算ツールをオープンソース化し、競合他社も使えるようにしていることです。

自社だけが「良い子」でいるのではなく、業界全体のルールを「雰囲気エコ」から「数値ベースの競争」へと変えようとしています。実測値を公開することは、業界内でのリーダーシップを確立し、サプライヤーをも巻き込んだ脱炭素化のエコシステムを作ることにつながります。

結論:データ公開は「守り」ではなく「攻め」の戦略

Allbirdsの2023年レポートは、サステナビリティが決して「慈善活動」や「コスト」ではなく、製品の品質そのものであることを示しています。今後、あらゆるサービスや製品において、ユーザーは「価格」「機能」に加えて、「その製品の実測データ(環境負荷など)」を比較検討の材料にするようになるでしょう。

その時、平均値でお茶を濁す企業と、Allbirdsのように胸を張って1次データを公開できる企業、どちらが選ばれるかは明白です。

「測り、隠さず、減らす」。 このシンプルなサイクルを徹底できるかどうかが、これからのブランド価値を左右する分水嶺になるのではないでしょうか。

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参考リンク:Allbirds 2023 Sustainability Report (JP)

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