「抱きしめて琵琶湖」というイベントをご存知ですか?
「抱きしめて琵琶湖」は1987年11月7日に開催された、その名の通り、人の手で琵琶湖を抱きしめるというイベントです。みなさんもご存知の通り琵琶湖はとんでもなく大きな湖、その周囲は235kmもあり、この周囲を人が手を繋ぎ囲むことで抱きしめるというなかなかインパクトのあるイベントです。
235kmもの距離を人が手を繋いで輪を作るためには、ざっと20万人必要。滋賀県最大の都市である大津市の当時の人口が25万人ですから、大津市民のほぼ全員が手を繋がないと琵琶湖は抱きしめられないという計算です。とても簡単に成功できるイベントではないことが分かります。
ところが、インターネットも携帯電話もない時代、商業的イベントのように広告費をかけて集客をすることもなく、しかも参加者は1000円の参加費がかかるにもかかわらず、最終的には25万人の人たちで琵琶湖を抱きしめることに成功しました。
当時の貴重な動画がYoutubeに上がっていましたので是非雰囲気を感じてみてください。
イベントの本当の目的を知らなかった参加者
このイベントは、滋賀県にある重症心身障害者施設の改築工事の費用などを集める目的として企画された、いわゆるボランティアイベントだったのです。参加費1,000円で25万人なので、2億5,000万円の支援金が集まり、結果として滋賀県や他の障害者支援団体などの支援として大きく役立てられたそうです。
しかし、ここで注目したいことは多くの参加者が障害者支援に役立てられるという目的を知らずに1,000円を払って参加していたということです。恐らくほとんどの参加者は「面白そう」とか「友達、恋人との記念に」など様々な理由で参加していたことでしょう。
「気がつけば○○」
これは、このイベントを企画された方の言葉です。
確かに、どんなに人に思いやりや善の気持ちがあっても、日常生活の中で自分よりそれを優先させるのは難しい。だから、行動理由はどうであれ結果的に福祉や社会のためになるような人の動かし方が重要で、結果このイベントはみんな後から福祉に役立てられたと気づかされました。支援を受けた側も参加者側も誰一人損をしていません。
本当の目的を知らされていないイベントだからこそ、参加者の参加動機に極めて自由な行動原理を与えたからこそ、この時代に広告も出さず25万人という人を動かし、結果的に2億円以上もの支援金が集まり役立てられたのではないでしょうか?
私は、この話を聞いて以降、この「気がつけば福祉」はどんな事にも当てはめられると考え、「気がつけば○○」という言葉に置き換えて座右の銘のように考えながら日々行動しています。
もちろん言うは易く行うは難しですが、Kabbaraの活動の中でも「気がつけば○○」を常に意識し、事業を進めていきます。