いつもお読みいただきありがとうございます。Kabbara沼倉です。本日のテーマは「コーポレートPPA」です。この数年でよく耳にする機会も増えてきました。
コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement、電力購入契約)とは、電力の需要家である企業が、発電事業者との間で長期にわたって結ぶ再生可能エネルギー電力の購入契約を指します。契約期間は、一般的に5~20年間ほどとされています。
電力を購入する企業にとっては、再生可能エネルギーによる電力を長期間、安定的に調達できるメリットがあります。一方、発電事業者には売電先が長期にわたり固定されるため、安定的な発電事業を営むことができます。
コーポレートPPAは、再生可能エネルギーの有効な調達手段として普及が進んでおり、特に欧米では、ウォルマートやマクドナルドなどの大手企業が取り入れたことで話題となりました。
コーポレートPPAには、発電設備と需要地の位置関係などによってさまざまなスキームがあり、大きく
・発電設備が需要地内にある「オンサイトPPA」
・需要地外にある「オフサイトPPA」
に分けられています。
発電設備が需要地内にある「オンサイトPPA」
需要地の建物の屋根上などに太陽光発電設備を設置(オンサイト)し、発電された電力を自家消費します。発電設備は事業者が設置・所有し、需要家は電力と環境価値を購入します。いわゆる「第三者モデル」と呼ばれるPPAがこれに当たります。
オフサイトPPAは、更に以下の2種類に分けられます。
オフサイトPPA:フィジカルPPA
需要地から離れた場所(オフサイト)に発電設備を設置し、その発電設備から電力と環境価値を調達します。ただし、現在、発電事業者が送配電ネットワークを介して電力を需要家に直接販売することが認められていないため、小売電気事業者を通した契約になります。
需要家からみると、電力と環境価値の双方を小売電気事業者から購入することになります。一見、通常の電力供給のように見えますが、特定の再生可能エネルギー発電所から電力を購入する点が特徴です。
オフサイトPPA:バーチャルPPA(オフサイトPPA)
発電設備が需要地から離れた場所にあるオフサイトPPAのもうひとつのスキームが、バーチャルPPAです。バーチャルPPAでは、発電事業者が発電した電力は市場に売却されます。そのため、需要家が調達する電力は発電所を特定するものではありません。
一方、環境価値は発電事業者から小売電気事業者を通して需要家に販売されます。この場合、需要家は契約中の電力会社を変更せず環境価値だけを調達することもできます。
初見では、理解するまでになかなか時間の掛かりそうな仕組みですが、確実に再生可能エネルギー・自然エネルギーに対する需要の増加とともにこのPPAも拡大していくでしょう。
現在、Kabbaraでは、SBT認定支援・カーボンクレジット関連事業が中心で事業を展開していますが、今後このような需要に合わせた事業展開も検討していき、より脱炭素を中心とした企業活動へ貢献できるように進めてまいります。