SBTって知ってますか?

   by Yu Numakura        
SBTって知ってますか?
世界中で政府、企業が”脱炭素”を合言葉に取り組んでいるカーボンニュートラル。世界でも5本の指に入るCO2排出国である日本は、排出量の多さと比較してカーボンニュートラルへの取り組みや認識が他の国と比較するとどうやら遅れているようです。Kabbara Timesでもこれまで何度も取り上げてきました。
本日は、脱炭素に向けた基本的な世界共通のアクション指針でもある、「SBT」についてお話します。

SBTってなに?

SBT(Science Based Targets)とは、企業がパリ協定の指標をベースに独自に設定するCO2などの温室効果ガスの排出削減目標のことです。基本的に5〜15年先を目標達成年と設定し、企業はその目標に向かって活動し日々の結果を公に公開していく取り組みがなされています。
つまり、簡単に言うとそれぞれの会社が目標を掲げて温室効果ガスを減らすぞ!という企業の自発的な取り組みなわけですが、今や環境負荷に対する企業責任は必須の時代、多くの企業がこのSBTに対する取り組み(SBTi=SBTイニシアチブ)に参加しています。
国内では、2015年からSBTを設定する企業が出始め、現在では202社がSBTiへ参加しています。カーボンニュートラルへの取り組み自体は遅れをとっている日本ですが、SBTi参加認定企業数としては、実はアメリカ、イギリスに次いで世界第三位。2019年から急激に増加していることから今後の日本企業の取り組みにはとても大きな期待が持てるのではないでしょうか!?
と言いたいところですが・・・
グラフ内の認定コミットという言葉に注目してください。SBTの設定には、「これから設定することを約束します!」というコミットと、実際に「目標設定が完了し認定され取り組んでいる」認定と大きくわけて2つのグループがあります。
これから設定するコミット企業の数でいうと日本はむしろこのグラフの国々の中では最下位クラス。いかにこれから取り組もうと思っている企業が少ないかが分かります

これから重要になってくる「中小企業」のSBT

SBTと一言で言っても、目標の設定はScope(スコープ)1〜3と大きく3つのグループに分かれています。
これまで、一般的にSBTを設定しSBTiに参加認定を受けるには、上記の図にもあるようにScope1〜3つまり自社の活動に加えて、あらゆる事業活動の工程における温室効果ガス排出量と削減目標を掲げる必要があり、主に従業員500名を超えるような大企業向けの取り組み、というのがSBTの認識でした。
しかし、ここ最近では参加のハードルを下げた中小企業向けSBTが登場しました。上記の図Scope1と2だけに焦点を当てたSBT設定で、大規模な事業を行っていない中小企業でも自社の活動から排出される温室効果ガスを数値化し、目標を具体的にできるようになってきました。
実際に国内でも中小企業SBTの申請をする中小企業は増加しているようで、SBTiへの代理申請などをサービスにしている企業もちらほら見るようになっています。
これはとても良い傾向だと思います。中小企業1社1社の排出の量は微々たるものかもしれません。しかし、全世界の経済活動は99%が中小企業が担っています。大企業だけではなく、中小企業が参加できる取り組みこそが、今後の本当のカーボンニュートラルに繋がるのではないでしょうか?
これはもちろんSBTに限ったことではありません。Kabbaraの活動にあるカーボンクレジットの分野や他の環境への取り組み全てに言えることだと思います。大企業や政府の取り組みだけでは間違いなく世界は変えられません。極端に言えば、町の小さなタバコ屋さんや、もっと言えば公園で遊ぶ無邪気な子供でも取り組んでいけるような仕組みが今後は必要になってくるのではないでしょうか。それこそ、「気がつけば◯◯」で。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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