アシックス社のScope3削減への取り組み事例

   by Tsuyoshi Mizushima        
アシックス社のScope3削減への取り組み事例
いつも、お読みいただきありがとうございます。Kabbaraの水島です。
弊社にお問い合わせいただいた企業のSBT取得に至った動機をお聞きすると、「上位サプライヤーから脱炭素要請があって」という声が多く、徐々に上位サプライヤーからの脱炭素要請が進んできていることが実感できるようになってきました。自社の取り組みが他社へ影響を与えるCO2排出量の仕組みをしっかりと理解することはとても大切であることを痛感させていただいています。
弊社は9月よりSBT認定取得サポートを開始させていただきましたが、嬉しいことに認定取得されました企業が少しずつ増えてまいりました。今後もますます中小企業の脱炭素計画へ出来る限りお力になれるようサポート体制を充実させてまいります。
    それでは、本日のトピックです。
  • 排出量削減への具体的な取り組み事例として、アシックス社をご紹介いたします。

アシックス社のScope3削減への取り組み事例

「脱炭素の取り組みを取引要件としてサプライヤーへ提示。」
アシックス社は、みなさんもご存知の通り、シューズなどスポーツ用品を主として、製造販売するメーカーです。スポーツ用品メーカーとしては、世界で一番はじめにSBT認定を取得するなど温暖化対策に対する意識はとても高い会社です。同社の排出量の多くは、Scope3のカテゴリー1が占めています。(※Scope3のカテゴリー1に関しては、こちらの記事を参照下さい→企業の温室効果ガス削減の成績は、連帯責任である。)カテゴリー1の削減をすすめるためにはサプライヤーにCO2排出量の削減に取り組んでもらう必要があります。
SBT成果報告 2017年度より
上記グラフにある通り、Scope3の排出量が全体の97%を占めています。
排出削減を非常に重要な課題と位置づけるアシックス社は、削減対策としてサプライヤーとの取引の要件に、排出削減の取り組みを導入していくことにしています。具体的には、以下の5項目を列挙しています。特に、1.及び2.については、非常にレベルが高い排出削減の行動をサプライヤーに要請していることが分かります。
▲アシックス社、サプライヤーへの取り組み5つの要件
上記の要件は、急に義務化することは不可能ですので、サプライヤーに対応してもらうための移行期間を設けています。同社の主力製品であるシューズの製造を担うTier1サプライヤーについては、既存のサプライヤー/工場については、直近の数年間は移行期間として調達の加点要素に留め、要件を満たせるようにエンゲージした後に正式に調達要件としています。一方、今後新たに計画される新規サプライヤー/工場については、要件項目を考慮した選定を行っています。
シューズ以外の事業(ウエアなど)については、シューズに続いて要件化することを検討しており、また、Tier1サプライヤーのみならず、Tier2サプライヤーについても、アシックスのScope3に占める排出量が多く、かつアシックスが直接コミュニケーションできるサプライヤーについては、働きかけを行っていく予定とのこと(その他のTier2サプライヤーについては、Tier1サプライヤーに対して、Tier2サプライヤーに働きかけを行ってもらうことを要請する予定)。
CO2排出量に関しては、サプライチェーン全体の連帯責任です。今後ますます今回ご紹介させていただいたアシックス社同様、サプライチェーンへの脱炭素への企業姿勢は強く求められることでしょう。
本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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