ゼロカーボンシティとは、環境省が推進する温室効果ガス削減に向けた取り組みの一つ。2050年までに、二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す自治体(都道府県、市町村)。
私たちが社会活動や経済活動を行う上で、二酸化炭素排出量を完全にゼロにすることはできません。そこで注目されるのが「実質ゼロ」というキーワードです。排出する二酸化炭素量を可能な限り減らすと同時に、取り組みによって二酸化炭素の吸収量も増やし、排出量と吸収量を相殺することで二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることが可能になります。
2019年にゼロカーボンシティを宣言した自治体はわずか4つ、2022年12月28日時点では、45都道府県、476市、20特別区、239町、43村がゼロカーボンシティを宣言しています。つまり日本に住むほとんどの人に影響がある取り組みなのです。
環境省によるゼロカーボンシティ支援
環境省では、各自治体のゼロ・カーボンシティ化を支援するため、「ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の気候変動対策基盤整備事業」を行っています。事業内容は、大きく以下の3つ。
- ゼロカーボンシティの実現に向けたシナリオ等検討支援
- ゼロカーボンシティ実現に向けた地域の合意形成等の支援
- 自治体の気候変動対策や温室効果ガス排出量等の現状把握(見える化)支援
ゼロカーボンシティ化のためには、資金も含めさまざまな準備が必要となります。環境省では、多くの自治体がゼロカーボンシティを実現できるよう支援しています。
自治体にとってのメリット
各自治体がゼロカーボンシティに向けた取り組みを実践すれば、二酸化炭素排出量をより着実に削減することが可能となります。今後の国際社会化という点において、日本の責任を果たせるというメリットは極めて大きくなります。
また、ゼロカーボンシティを目指すことで、地域活性化や地域貢献につながるというメリットもあります。二酸化炭素の排出量を削減するためには再生エネルギーの積極的な導入が必要で、それによって地域の産業や雇用の創出が期待できます。
太陽光発電や風力発電といった再生エネルギーや蓄電などの設備が整備されれば、自然災害など有事の際でも地域に電力を供給でき、地域貢献にもなるでしょう。地震を始め、災害の多い日本において、”生きる”という点では自然災害対応が地域住民にとって最も大事なことになるかもしれませんね。
ゼロカーボンシティの取り組み事例
各都道府県、市町村の取り組みを一部ご紹介します。ご紹介した取り組み以外にもたくさんの事例があるので、ぜひ各市町村のHPでご覧になってください。
秋田県鹿角市:積極的再生エネルギー化
市内では早くから水力や地熱発電所の立地が進み、再生可能エネルギーの自給率は300%を超えており、再エネの活用などで目標達成を目指しています。市の17年度の二酸化炭素の排出量は25万トン。市内で使う電気をすべて地域の再エネに切り替えると約8・8万トンの削減になります。省エネや断熱、自動車のEV化、公共交通の活用などの積み重ねでゼロ・カーボンシティを目指しています。
市内では早くから水力や地熱発電所の立地が進み、再生可能エネルギーの自給率は300%を超えており、再エネの活用などで目標達成を目指しています。市の17年度の二酸化炭素の排出量は25万トン。市内で使う電気をすべて地域の再エネに切り替えると約8・8万トンの削減になります。省エネや断熱、自動車のEV化、公共交通の活用などの積み重ねでゼロ・カーボンシティを目指しています。
岡山県真庭市:バイオマス発電
岡山県真庭市では、地域資源の循環利用によって地域経済へ貢献しています。真庭市は林業が盛んなことで有名で、木質バイオマスを活用したバイオマス発電を推進しました。地域の木材関連団体とともに「真庭バイオマス発電」を設立し、国内最大級のバイオマス発電インフラを正式稼働させています。そのほか、災害時に電力を供給できる地域マイクログリッドの導入や、地域に豊富に存在する広葉樹を有効活用する方策などの検討も進められています。
岡山県真庭市では、地域資源の循環利用によって地域経済へ貢献しています。真庭市は林業が盛んなことで有名で、木質バイオマスを活用したバイオマス発電を推進しました。地域の木材関連団体とともに「真庭バイオマス発電」を設立し、国内最大級のバイオマス発電インフラを正式稼働させています。そのほか、災害時に電力を供給できる地域マイクログリッドの導入や、地域に豊富に存在する広葉樹を有効活用する方策などの検討も進められています。
北海道札幌市:暖房によるCO2排出量削減
北海道のような寒冷地では、全国に比べて家庭から出るCO2の割合が高く、その多くが暖房によるもの。そこで北海道札幌市では、札幌独自の高断熱・高気密住宅の基準である「札幌版次世代住宅基準」を策定しています。住宅の断熱性能などが独自基準を満たしていると判断されれば、建築費用の一部が補助されるような仕組みもあります。
北海道のような寒冷地では、全国に比べて家庭から出るCO2の割合が高く、その多くが暖房によるもの。そこで北海道札幌市では、札幌独自の高断熱・高気密住宅の基準である「札幌版次世代住宅基準」を策定しています。住宅の断熱性能などが独自基準を満たしていると判断されれば、建築費用の一部が補助されるような仕組みもあります。
埼玉県所沢市:地域の電力会社を設立
埼玉県所沢市では、ゼロカーボンシティを実現するために、地域新電力会社「株式会社ところざわ未来電力」を設立しました。この電力会社では、地域の廃棄物発電や太陽光発電などで得られるエネルギーを主な電源としおり、発電で得られた電力は、市内の公共施設で活用されているほか、民間の家庭にも供給されます。
埼玉県所沢市では、ゼロカーボンシティを実現するために、地域新電力会社「株式会社ところざわ未来電力」を設立しました。この電力会社では、地域の廃棄物発電や太陽光発電などで得られるエネルギーを主な電源としおり、発電で得られた電力は、市内の公共施設で活用されているほか、民間の家庭にも供給されます。
愛知県蒲郡市:ごみ減量への取り組み
愛知県蒲郡市が積極的に行っているのは、ごみ減量に対する取り組み。ごみ減量地域説明会も積極的に開催しているようです。また、より多くの住民にごみに対する意識を高めてもらうため、資源・ごみ分別アプリ「さんあーる」を配信し、ごみに関する情報を手軽に受け取れる取り組みを行っています。
愛知県蒲郡市が積極的に行っているのは、ごみ減量に対する取り組み。ごみ減量地域説明会も積極的に開催しているようです。また、より多くの住民にごみに対する意識を高めてもらうため、資源・ごみ分別アプリ「さんあーる」を配信し、ごみに関する情報を手軽に受け取れる取り組みを行っています。
鹿児島県鹿児島市:電気自動車の普及促進
鹿児島県鹿児島市では、環境負荷低減のために、走行時の二酸化炭素排出量ゼロの電気自動車・燃料電池自動車の普及を促進しています。公用車に電気自動車や燃料電池自動車を積極的に採用したり、自家用車として一定の条件を満たした電気自動車などを購入した市民に対し、補助金を交付しています。
鹿児島県鹿児島市では、環境負荷低減のために、走行時の二酸化炭素排出量ゼロの電気自動車・燃料電池自動車の普及を促進しています。公用車に電気自動車や燃料電池自動車を積極的に採用したり、自家用車として一定の条件を満たした電気自動車などを購入した市民に対し、補助金を交付しています。
まとめ
ゼロカーボンシティとは、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目指す自治体のことです。多くの自治体が脱炭素に取り組むことを表明していて、世界的枠組みであるパリ協定でもゼロカーボンへの努力が求められています。
もちろん、各地域の取り組みには様々な課題はありますし、ゼロカーボンシティ化そのものへの壁もあることでしょう。しかし、ゼロ・カーボンシティ化は、単に二酸化炭素排出の問題に関連したことではなく、災害や有事の際の生活基盤にもなりうる取り組みです。特に、自然災害の多い日本においては、見方を変えれば環境問題への解決策というよりも、私たちがこれからも豊かに生活をしていくために必要な”地域の成長”なのかもしれません。
本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。