国連やFIFAも絶賛!サステナブルサッカークラブ

   by Kenta Watabe        
国連やFIFAも絶賛!サステナブルサッカークラブ
イギリス南西部の町、ネイルズワースに本拠地を構える「フォレストグリーン・ローバーズ(FGR)」は、世界一エコなサッカークラブとして大きな注目を集めています。とはいえ、イングランド・フットボールリーグ2(実質4部)のこのクラブを知る人は、日本ではごくわずかでしょう。
小学1年生の頃からサッカーをはじめ、今でも趣味としてサッカーを続けている私にとってはとても興味深い取り組みです。素晴らしい取り組みですのでご紹介させていただきます。是非読み進めてみてください。
▲FGRがどのようにして、オーガニックな方法でピッチを保っているかを説明された看板 ©︎ Getty Images Sports

フォレストグリーン・ローバーズの活動の中心に据える思想は、「サステナブル」

フォレストグリーン・ローバーズがエコ・ファーストへ舵を切ったきっかけは、2010年にクラブのメインスポンサーがイギリスで最も環境に優しいエネルギー企業として知られるエコトリシティへ変わったことにあります。同企業で会長を務めるデイル・ビンス氏がクラブのオーナーとして運営に携わるようになったことで、サッカーをたくさんの観客に環境メッセージを届ける新しい手段にしようという意識が芽生えたからなのです。
ホームスタジアムの屋根にはソーラーパネルを設置して、使用する電力やガスはすべてグリーンエネルギーでまかなうという徹底ぶり。グラウンドの芝も殺虫剤や除草剤を使うことなく、有機肥料と雨水だけで育て、整備用の芝刈り機さえも太陽光発電による電動タイプを使うというところまでこだわっている。
「オーガニックなピッチ」とは少々分かりづらいが、グラウンド整備員のアダム・ウィッチェム氏は「普通のピッチよりも手がかかるが、芝の状態はトップクラブにも負けてない」と胸を張っています。
さらにはスタジアムで使用するプラスチックも最小限に抑え、トイレの手洗い石鹸もオーガニックのものを使っている。もちろん、たくさんの手間がかかる大変な仕事だが、サステナブルの実現のためなら、どんな地道な作業も厭わないというスタンス。
現在計画中の新スタジアムは、既に「エコパーク」と名称が決定済みであり、デザインを担当したのは、2020年の東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の、白紙撤回された当初案を手掛けたことでも知られる英国の建築家、故ザハ・ハディド氏。おのずと注目度は高いが、クラブが目指すのは、世界初となる「完全木製」のスタジアム。好奇心と期待を膨らませて、多くの人が状況の進展を見守っている。
▲エコパーク ©︎ Zaha Hadid Architects

ユニホームの材質は竹

環境への配慮を重んじる姿勢は、選手の着るユニフォームに表れていることも見逃せません。彼らの愛用するユニホームは、サステナブルな素材として知られる竹から作られているのです。原材料の50%に、成長が速く再生可能な竹を使用することで、通常のサッカーユニフォームの生産に使われるプラスチックを大幅に削減することに成功しました。既成の枠にとらわれない、竹製のサッカーユニフォームという発想も、いうまでもなく世界初の試みです。
また、ユニフォームの特長的なデザインであるチームカラーのライムグリーンと黒の縞模様は、パートナーシップを結んでいる海洋野生生物保護団体シーシェパードが掲げる海賊旗の髑髏をイメージしたもののようです。
▲©︎ Getty Images Sports

極め付きは食事面

スタジアムを含めてクラブが提供する食べ物は「ビーガン」のみ。ビーガンとは、プラントベースと言われる植物由来の食品にこだわる完全菜食主義のこと。スポーツ選手にとって「食」は非常に重要だが、マーク・クーパー監督は、19年10月に放映された英BBC放送のドキュメンタリー番組「フットボール・ゴーイング・ビーガン」で次のように話した。
「選手を含むスタッフ全ては、ビーガンがクラブのポリシーであることを承知の上でここにやって来た。選手たちは自分の仕事の一部として理解し、コミットしている。逆に言えば、ビーガン食はメリットの方が多いから、その方が選手にとっては重要だ」
クラブの栄養士トム・フリン氏は、より詳しくビーガンの利点は、
「睡眠が向上し、よりエネルギッシュになる。回復レベルも圧倒的に改善されます。健康面が総合的に向上し、試合に向けていい状態に臨めるようになった」
「サッカー選手としては『これを食べていればけがをしない、もっと長くプレーできる』という話を聞けば、ビーガンでも構わないということになる。これが最大の秘密。大切なのはそこだ」と語っている。
FGRの会長デール・ビンス氏は、サポーターの反応についてこう語っている。
「もちろん初めは反発するファンもいた。突然、『肉はダメ』と選択肢を奪われたからね」。しかし、ビンス氏のファンへの説得はうまかった。「ホーム戦があるのは2週間に1回。試合を見に来た日の2時間、1食分だけビーガンになってみませんか」と訴えた。ファンは「そう言われれば、やってみようかなと多くが思った」と。
今では、ヴィーガンに詳しいシェフを集めて味の改良を重ね、ここの食事の方が他のスタジアムよりおいしいし、実際、ビールなども含めてメニューをビーガンに完全移行してから、逆に売り上げは大幅に伸びている。さらに、スタジアム発のブランドとして「デビルズキッチン」を独立させ、学校の給食事業やスーパー向け商品も作っている。
こうした取り組みが評価され、2017年にはヴィーガン協会よりヴィーガンマークの認証証を授与された。世界初のヴィーガン・サッカークラブとして公式に認められることとなった。
こうした世界のどのサッカーチームも行なっていない、サッカーと環境問題を融合させた新しい取り組みは、CO2の排出削減やリサイクルといった分野で高い効果を上げ、2018年には世界初の「カーボンニュートラルなスポーツクラブ」として国連が認証され、FIFA(国際サッカー連盟)からも「世界で最もグリーンなサッカーチーム」として高い評価を受けている。
日頃プレミアリーグの結果をチェックしている私は、いつか「フォレストグリーン・ローバーズ」がプレミアリーグまで駆け上がってくることを楽しみにしています。
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