再生可能エネルギーの現実

   by Kenta Watabe        
再生可能エネルギーの現実
あなたは、再生可能エネルギーといえばどんなことを考えますか? 「風力発電」「太陽光発電」「バイオマス発電」「環境に優しい」「CO2削減」などなど。
再生可能エネルギーはすごく良いもの、というイメージを持っている方が多いかと思います。 私もそう思っていました…
前回、私の記事で「100%再生エネルギーだけで運営するスキー場」についてご紹介させていただきました。 今回の記事では、この再生可能エネルギーについて少し掘り下げていきたいと思います。

再生可能エネルギーはどれくらい使われているのでしょうか?

▲出典:IEA「Data Services」、各国公表情報より資源エネルギー庁作成
日本の再生可能エネルギー電力比率は2019年度で「18%」、水力発電を抜くと約10%程度なのです。
中部電力のGreenでんきでの再生可能エネルギー電力比率は「3%」 つまり、ソーラーパネルや風力発電などの再生可能エネルギーは他のエネルギー資源と比べるとほとんど使われていないんです。
脱炭素化へ、地球環境に負荷が少なく、国内で賄えるエネルギー源として「再生可能エネルギー」は注目され、普及が拡大しています。しかし、まだまだ再生可能エネルギーにも課題はたくさん存在するのです。
    再生可能エネルギーのメリット
  • エネルギー源が枯渇しない
  • エネルギー自給率の向上
  • 温室効果ガスの排出量が少ない
  • 有害物質(焼却灰など)、廃棄物(放射性廃棄物など)が発生しない
  • 分散型エネルギーシステムに適している
    再生可能エネルギーのデメリット
  • 太陽光、風力など天候によって発電量が大きく変動するため不安定
  • 再生可能エネルギーによる発電コストが高い
  • 再生可能エネルギー賦課金による国民負担の増加
  • 電力施設の建設による自然破壊や環境汚染
  • 廃棄物処理の問題(太陽光パネル)
これらの中で「3.再生可能エネルギー賦課金による国民負担の増加」について少し掘り下げていきたいと思います。
みなさんの家に毎月届く電気料金表に「再エネ発電賦課金」と記されている項目があることを知っていますか?
これは、簡単にいうと、太陽光など自然の力を利用して生み出される枯渇することのない再生可能エネルギーを普及させるためのお金です。2012年7月、国は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を制定し、電力会社に再生可能エネルギーで発電した電気を一定価格で一定期間買い取ることを義務付けました。この電力買取のために必要なお金を電気を利用している国民から再エネ発電賦課金という名目で集めることとなったのです。再エネ発電賦課金は国の制度であるため、電力会社に関係なく、電気を利用している国民全員の電気代に組み込まれています。
つまり、再生可能エネルギーが普及することで買取り額が増え、再エネ発電賦課金が上昇していくこととなるのです。
▲出典:IEA「 World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。

日本のエネルギー自給率

日本のエネルギー自給率は11.8%で、ほかのOECD諸国と比べると低水準となっています。エネルギー源として使われる石油・石炭・液化天然ガス(LNG)などの化石燃料のほとんどは海外からの輸入に大きく依存しています。
このまま海外のエネルギー源に依存していると、国際情勢などに影響されて安定的にエネルギー源を確保できないことが考えられます。まさに現在も、コロナ禍によって原油の需要環境が大きく変化しガソリン価格は高騰しています。
そのため、日本のエネルギー自給率を上げていく必要性があるのです。
再生可能エネルギーは、日本のエネルギー自給率を上げていくうえで必要不可欠です。しかし現実的なハードルはまだまだ多く、これまで大きなインフラとなっていたシステムを変えていくことは一筋縄ではいきません。課題をひとつひとつ解決しながらSDGs推進の一翼を担う国の一員として、日本のエネルギー動向に着目することはとても大切なことだと思います。
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