SBT用語解説:もう迷わない!重要キーワード20選を徹底解説②

   by kabbara        
SBT用語解説:もう迷わない!重要キーワード20選を徹底解説②
SBT用語解説。これだけは知っておきたい

前回の記事では、SBTの基礎知識となる用語を解説しました。(SBT用語解説!これだけは知っておきたい重要キーワード集①)今回は、さらに一歩踏み込んで、SBT取得を目指す上で知っておきたい重要キーワードを解説していきます。

1)バリューチェーン排出量
企業活動全体で排出される温室効果ガスの総量のことです。原材料の調達から始まり、製造、輸送、販売、使用、そして最終的な廃棄に至るまで、あらゆる段階で排出される温室効果ガスが含まれます。SBTを設定する際には、自社の事業活動が環境に与える影響を包括的に捉え、バリューチェーン全体での排出量を把握することが重要です。そのためには、サプライヤーや顧客、さらには製品の廃棄に関わる業者など、様々なステークホルダーとの連携が不可欠となります。バリューチェーン排出量を把握することで、より効果的な排出削減対策を立案し、実行することができます。

2)内部炭素価格
企業が、CO2排出量1トンあたりに独自に価格を設定することです。
内部炭素価格を設定することで、CO2排出をコストとして捉え、事業活動における意思決定に環境への影響を反映させることができます。例えば、新たな設備投資を行う際に、CO2排出量が少ない設備を選ぶ、再生可能エネルギーの導入を検討するなど、環境負荷を低減するための投資を促進する効果が期待できます。また、内部炭素価格を設定することで、従業員の環境意識向上にも繋がり、企業全体の排出削減に向けた取り組みを加速させることができます。

3)炭素会計
企業の温室効果ガス排出量を算定し、記録・報告する仕組みです。
自社の排出量を正確に把握することは、SBT設定の第一歩であり、効果的な排出削減対策を講じるために不可欠です。炭素会計では、排出量をスコープ1、2、3に分類し、それぞれの排出源を特定します。そして、それぞれの排出源における排出量を算定し、記録・報告します。
正確な炭素会計を行うためには、適切な算定方法やデータ収集方法を確立する必要があります。

4)環境マネジメントシステム(EMS)
組織が環境負荷を低減するための管理システムのことです。国際規格であるISO14001が代表例として挙げられます。EMSを構築することで、組織全体で環境問題への意識を高め、計画的・継続的に環境負荷を低減することができます。SBT取得と合わせてEMSを導入することで、相乗効果が期待できます。SBTで設定した排出削減目標を達成するために、EMSの枠組みを活用し、組織全体で環境対策に取り組むことができます。

5)ライフサイクルアセスメント(LCA)
製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷を評価する手法です。原材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの全段階において、CO2排出量や水資源消費量、廃棄物発生量などを定量的に評価します。
LCAを実施することで、製品やサービスの環境負荷を把握し、環境負荷の少ない製品設計や製造方法の開発、リサイクルの促進など、様々な環境対策に役立てることができます。

国際的な枠組み・目標編

6)国連気候変動枠組条約(UNFCCC)
地球温暖化防止のための国際的な条約です。1992年に採択され、1994年に発効しました。
UNFCCCは、地球温暖化が人類共通の課題であることを認識し、国際協力によって気候変動問題に取り組むための枠組みを定めています。パリ協定はこの条約に基づいて採択されました。

7)IPCC(気候変動に関する政府間パネル)
気候変動に関する科学的な知見を提供する国際機関です。1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立されました。
IPCCは、世界中の科学者の協力のもと、気候変動に関する最新の研究成果を評価し、報告書として発表しています。IPCCの報告書は、SBT設定の科学的根拠として非常に重要です。

8)NDC(国が決定する貢献)
各国が自主的に設定する温室効果ガス削減目標です。パリ協定では、各国がNDCを提出・更新することが義務付けられています。NDCは、各国の事情を考慮した上で設定されますが、世界全体でパリ協定の目標を達成するためには、各国がより意欲的なNDCを設定し、実行していくことが求められます。

9)炭素税
CO2の排出量に応じて課税する制度です。企業は、炭素税を支払うことで、CO2排出に伴う環境負荷を経済的に負担することになります。炭素税は、企業の排出削減を促す効果があり、地球温暖化対策の重要な政策の一つとして位置付けられています。

10)排出量取引
企業間で排出枠を売買する制度です。
政府が、各企業にCO2排出量の限度を定めた排出枠を割り当て、排出枠が余った企業は、排出枠を超過した企業に排出枠を売却することができます。排出量取引は、市場メカニズムを活用することで、効率的にCO2排出量を削減することを目的としています。

エネルギー・技術編

11)エネルギー効率化
少ないエネルギー消費で、同じ効果を得るための技術や取り組みのことです。例えば、省エネ家電の導入、断熱材の利用、高効率な照明器具への交換などが挙げられます。
エネルギー効率化は、CO2排出量削減に大きく貢献するだけでなく、エネルギーコストの削減にも繋がります。

12)省エネルギー
エネルギーの無駄をなくし、消費量を削減することです。照明をこまめに消す、空調の温度設定を見直す、待機電力をカットするなど、日常生活の中でもできることがたくさんあります。
企業においても、業務プロセスを見直し、エネルギー消費量を削減するための取り組みが重要です。

13)再生可能エネルギー電力
太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電など、再生可能エネルギー源から作られた電力のことを指します。再生可能エネルギー電力は、CO2排出量削減に大きく貢献し、地球温暖化対策の切り札として期待されています。近年では、再生可能エネルギー電力の導入コストが低下しており、企業でも導入が進んでいます。

14)グリーン水素
再生可能エネルギーを使って製造された水素のことです。従来の水素は、化石燃料から製造されるため、CO2が排出されます。一方、グリーン水素は、CO2を排出しないクリーンなエネルギー源として期待されています。

15)CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)
工場や発電所などから排出されるCO2を回収し、利用または貯留する技術のことです。回収したCO2は、燃料や化学製品の原料として利用したり、地中深くに貯留することで、大気中へのCO2排出量を削減することができます。

金融・投資編

16)グリーンファイナンス
環境問題への対応を目的とした資金調達のことです。グリーンボンド(環境改善効果のある事業に要する資金を調達するために発行される債券)などが代表例です。グリーンファイナンスは、環境問題解決に向けた取り組みを促進するための重要な役割を担っています。

17)ESG投資
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を考慮した投資のことです。従来の財務情報だけでなく、ESG要素も考慮することで、企業の持続可能性を評価し、長期的な投資価値を見極めることができます。
SBT取得企業は、ESG投資の対象となりやすいです。

18)サステナビリティ
地球環境や社会を持続可能な状態にすることです。環境問題、社会問題、経済問題など、様々な課題を解決し、将来世代にわたって豊かな社会を維持していくことを目指します。SBTは、企業のサステナビリティ戦略において重要な役割を担います。

19)責任投資原則(PRI)
投資家がESG要素を投資判断に組み込むための原則です。2006年に国連が提唱し、世界中の機関投資家が署名しています。PRIに署名する機関投資家が増加しており、企業のESGへの取り組みがますます重視されています。

20)グリーンボンド
環境プロジェクトへの資金調達を目的とした債券です。グリーンボンドの発行基準は厳格であり、資金使途が環境改善に繋がるプロジェクトに限定されています。SBT取得企業は、グリーンボンド発行による資金調達がしやすくなる可能性があります。

まとめ

今回は、SBT取得を目指す上で知っておきたい重要キーワードをさらに詳しく解説しました。これらの用語を理解することで、SBTに関するニュースや情報がより深く理解できるようになると思います。SBT取得は、企業の持続的な成長を促すための重要な一歩です。ぜひ、本記事を参考にして、SBT取得を目指してみてはいかがでしょうか。

▼SBT認定取得はコチラからどうぞ