SBT導入でコスト削減! 省エネによるコスト削減効果と事例を解説

   by kabbara        
SBT導入でコスト削減! 省エネによるコスト削減効果と事例を解説
SBT導入でコスト削減! 省エネによるコスト削減効果と事例を解説

地球温暖化が深刻化する中、企業にはCO2排出量削減が求められています。そのための有効な手段の一つが、省エネルギー施策ですが、省エネ施策を加速させる最適な方法が科学的根拠に基づいた排出削減目標である「SBT(Science Based Targets)」の導入です。SBT導入は環境負荷低減だけでなく、営利企業にとって重要となる省エネによるコスト削減効果も期待できます。

本記事では、SBT導入と省エネの関係性を詳しく解説し、具体的な省エネ事例を紹介します。企業の省エネを通じて脱炭素経営を推進する上で役立つ情報をお届けします。

サマリー

  • SBTとは、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のこと。
  • SBT導入により、エネルギー効率向上、資源の効率的利用、企業イメージ向上によるコスト削減効果が期待できる。
  • 省エネ設備の導入、エネルギー管理システムの導入、従業員の意識改革などにより、省エネによるコスト削減効果を高めることができる。
  • SBT導入によるコスト削減を実現した企業の事例として、照明のLED化や空調設備の更新、エネルギー管理システムの導入などが挙げられる。
  • SBT導入を支援するサービスを活用することで、目標設定や削減計画の策定をスムーズに進めることができる。

具体的な目標設定による行動の明確化

SBT導入の大きな特徴は、CO2削減目標を明確に設定することです。従来の環境目標は、「CO2排出量を削減する」といった抽象的なものが多く、具体的な行動指針が曖昧になりがちでした。

しかし、SBTでは、「2030年までにCO2排出量を2015年比でXX%削減」といった具体的な数値目標を設定します。この数値目標は、科学的な根拠に基づいて設定されるため、企業は目標達成のために何をすべきか、明確に理解することができます。

例えば、工場のCO2排出量を削減する場合、SBT導入企業は「照明をLEDに交換する」「生産ラインの稼働効率を見直す」「廃熱を再利用する」といった具体的な省エネ対策を具体的な目標数値に向けて計画的に実行していくことになります。SBT導入は、企業の省エネ活動を具体的な行動に結び付ける効果があります。

SBT(Science Based Targets)とは?

SBTとは、Science Based Targetsの略で、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。パリ協定で合意された「世界の平均気温上昇を産業革命前比で2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を達成するために、企業が設定する排出削減目標を指します。Science Based Targets initiative(SBTi)が認定する、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTiは、CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体によって設立された国際的なイニシアチブです。

CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体

SBTが重要視されている理由は、企業の脱炭素化への取り組みを客観的に評価できる指標となるからです。SBTを取得することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • ブランドイメージの向上
    環境意識の高まりとともに、消費者は企業の環境への取り組みを重視するようになっています。SBT導入は、企業の持続可能性に対するコミットメントを示すことで、消費者の共感を呼び、ブランドイメージ向上に繋がります。
  • 投資家からの評価向上
    ESG投資が主流となる中、SBTは企業の長期的な成長性を評価する上で重要な指標となっています。SBT導入は、投資家からの信頼獲得、資金調達、企業価値向上に貢献します。
  • 競争力強化
    SBT達成に向けた取り組みは、省エネルギー化、資源効率の向上、イノベーション促進など、企業の競争力強化に繋がる効果も期待できます。
  • リスク管理
    気候変動による事業リスクは、今後ますます高まることが予想されます。SBT導入は、気候変動リスクを早期に特定し、対策を講じることで、事業の安定化に貢献します。
  • 従業員のエンゲージメント向上
    環境問題への意識が高い従業員にとって、SBT導入は企業への愛着や誇りを高め、モチベーション向上に繋がります。

SBTは、企業規模や業種を問わず、あらゆる企業にとって有益な取り組みです。

計画的な省エネ投資の促進

SBTは、長期的な視点に立ったCO2削減目標です。そのため、SBT目標達成には、短期的な対策だけでなく、長期的な計画に基づいた省エネ投資が必要となります。

計画的な省エネ投資の促進

SBT導入企業は、目標達成のために、数年から数十年にわたる長期的な計画を策定します。この計画には、省エネ設備の導入、エネルギー管理システムの構築、従業員教育など、様々な省エネ対策が含まれます。

長期的な計画に基づいた省エネ投資は、以下のメリットをもたらします。

  • 投資効率の向上: 計画的に投資を行うことで、無駄なコストを削減し、投資効率を高めることができます。
  • 効果の最大化: 長期的な視点で省エネ対策を行うことで、より大きな効果を得ることができます。
  • リスクの低減: 将来のエネルギー価格変動や環境規制強化などのリスクに対応することができます。

SBT導入は、企業が計画的な省エネ投資を行うための枠組みを提供し、長期的な視点でCO2削減に取り組むことを促進します。

企業全体の意識改革

SBT導入は、単に省エネ設備を導入するだけでなく、企業全体の意識改革を促す効果も期待できます。SBT導入企業は、CO2削減目標を達成するために、全社員を巻き込んだ取り組みを行う必要があります。そのため、従業員一人ひとりが省エネの重要性を認識し、積極的に省エネ活動に参加することが重要となります。

企業全体の意識改革

SBT導入をきっかけに、多くの企業では、以下のような取り組みが行われています。

  • 省エネに関する研修: 従業員に対して、省エネの重要性や具体的な省エネ方法に関する研修を実施します。
  • 啓発活動: ポスターや社内報などを活用し、省エネを啓発する活動を行います。
  • 表彰制度: 省エネ活動に貢献した従業員を表彰する制度を導入します。

これらの取り組みを通じて、従業員の省エネ意識を高め、行動変容を促すことで、企業全体の省エネ活動を推進することができます。

SBTをきっかけにした省エネ導入の流れ

  1. 現状把握: まず、現状におけるエネルギー消費量を把握しCO2排出量・コストを算出します。
  2. 目標設定: SBT達成のために必要なCO2削減量を算出し、省エネ目標を設定します。
  3. 対策実施: 目標達成に向け、具体的な省エネ対策を実施します。
  4. 効果測定: 定期的に省エネ効果を測定し、必要があれば対策を見直します。

 

SBT導入は、企業の省エネ活動を加速させるための強力なツールとなります。具体的な目標設定、計画的な投資、意識改革を通じて、企業はCO2排出量削減とコスト削減の両立を実現することができます。

各業界ごとの省エネ施策とコスト削減例まとめ

製造業における省エネ事例

製造業におけるCO2削減の現状と未来

製造業では、多くのエネルギーを消費するため、省エネによるコスト削減効果が大きいです。具体的な事例として、以下の取り組みが挙げられます。

  • 高効率設備の導入: 最新の省エネ設備を導入することで、エネルギー消費量を大幅に削減できます。例えば、モーターやポンプを高効率なものに交換することで、電力消費量を削減できます。
    • 事例: 自動車製造工場内の照明をLEDに交換し、年間約100万円の電気料金削減を実現。
    • 事例: 食品加工会社では、生産ラインのモーターを高効率なものに交換し、年間約500万円の電力消費量削減を実現。

 

  • 工程改善: 生産工程を見直し、無駄なエネルギー消費を削減します。例えば、工程の順番を変える、作業時間を短縮するなどの工夫によって、エネルギー消費量を削減できます。
    • 事例: 化学メーカーでは、製造工程の温度管理を見直し、加熱時間を短縮することで、年間約200万円の燃料費削減を実現。
    • 事例: 鉄鋼メーカーでは、生産ラインの稼働率を向上させることで、エネルギー消費量を削減。

 

  • 廃熱利用: 製造過程で発生する廃熱を回収し、再利用することでエネルギー消費量を削減できます。
    • 事例: セメント工場では、製造過程で発生する廃熱を利用して発電し、年間約3,000万円の電力料金削減を実現。

事例: 製紙工場では、廃熱を利用して工場内の暖房に活用し、年間約1,000万円の燃料費削減を実現。

オフィスビル不動産業における省エネ事例

オフィスビルでは、照明、空調、OA機器など多くのエネルギーを消費します。省エネ対策として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 照明のLED化: 消費電力の少ないLED照明に交換することで、大幅な電力消費量削減につながります。
    • 事例: オフィスビルでは、全館の照明をLEDに交換し、年間約500万円の電気料金削減を実現。

 

  • 空調の効率化: 空調設備の温度設定を見直したり、稼働時間を調整したりすることで、電力消費量を削減できます。
    • 事例: 空調の温度設定を夏は28℃、冬は20℃に設定し、年間約200万円の電気料金削減を実現。
    • 事例: 在宅勤務制度を導入し、オフィスの空調稼働時間を削減することで、電力消費量を削減。

 

  • OA機器の省エネ化: パソコンやプリンターなどのOA機器の省エネ設定を徹底することで、電力消費量を削減できます。
    • 事例: パソコンの電源管理設定を見直し、未使用時の電力消費量を削減することで、年間約100万円の電気料金削減を実現。

運輸業における省エネ事例

運輸業では、燃料消費量の削減が大きな課題です。省エネ対策として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • エコドライブの推進: 急発進・急ブレーキを避け、適切な速度で走行することで、燃料消費量を削減できます。
    • 事例: ドライバーにエコドライブ講習を実施し、年間約1,000万円の燃料費削減を実現。

 

  • 車両の軽量化: 車両の軽量化によって、燃費を向上させることができます。
    • 事例: 軽量素材を使用したトラックを導入し、年間約500万円の燃料費削減を実現。

 

  • モーダルシフト: トラック輸送から鉄道や船舶輸送へ転換することで、CO2排出量を削減できます。
    • 長距離輸送をトラックから鉄道に転換することで、CO2排出量を年間約20%削減。

小売業における省エネ事例

小売業における省エネ事例

小売業では、照明や空調、冷蔵・冷凍設備など多くのエネルギーを消費します。省エネ対策として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 照明のLED化: 店舗の照明をLEDに交換することで、電力消費量を削減できます。
    • 事例: あるスーパーマーケットでは、店舗内の照明をLEDに交換し、年間約300万円の電気料金削減を実現。

 

  • 空調の効率化: 空調設備の温度設定を見直したり、営業時間外は空調を停止したりすることで、電力消費量を削減できます。
    • 事例: あるコンビニエンスストアでは、空調の温度設定を見直し、年間約100万円の電気料金削減を実現。

 

  • 冷蔵・冷凍設備の効率化: 高効率な冷蔵・冷凍設備を導入することで、電力消費量を削減できます。

事例: あるドラッグストアでは、最新の省エネ型冷凍庫を導入し、年間約200万円の電気料金削減を実現。

中小企業による省エネ実例紹介

製造業

    • 株式会社アキヤマ: 金属加工を行う中小企業。工場内の照明をLEDに交換し、古い空調設備を最新の高効率型に更新しました。さらに、作業工程の見直しや従業員への省エネ意識啓蒙活動も実施。

    • 有限会社ヤマダ製作所: プラスチック製品を製造する中小企業。工場の屋根に太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入によるCO2排出量削減と電気料金削減を実現。
    • 株式会社サトウ食品: 冷凍食品を製造する中小企業。冷凍・冷蔵庫の稼働効率を見直し、庫内温度の設定や開閉時間の管理を徹底することで、電力消費量を削減。

運輸業

  • 有限会社ハヤシ運輸: 地域密着型の運送会社。ドライバーにエコドライブ講習を定期的に実施し、燃料消費量削減と安全運転意識の向上を両立。

 

  • 株式会社マルイ物流: 中小企業向けの物流サービスを提供する会社。配送ルートの最適化や積載効率の向上など、輸送効率の改善に取り組むことで、CO2排出量削減とコスト削減を実現。

小売業

  • 有限会社タナカ商店: 地域密着型のスーパーマーケット。店舗の照明をLEDに交換し、冷蔵・冷凍ショーケースの扉を自動開閉式に改修。

 

  • 株式会社ヤマモトベーカリー: 地域で人気のパン屋。店舗の照明をLEDに交換し、営業時間外は空調を停止するなど、省エネ対策を徹底。

まとめ:

本記事では、SBT導入によるコスト削減効果と省エネによる具体的な事例を解説しました。

SBT導入は、地球温暖化対策に貢献するだけでなく、企業にとってコスト削減や企業価値向上などのメリットをもたらします。省エネ対策を積極的に推進することで、更なるコスト削減効果が期待できます。SBT導入を検討する際には、本記事で紹介した事例やサービスを参考に、自社にとって最適な方法を検討してみてください。

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