COP26でわかったこと

   by Akihiko Sato        
COP26でわかったこと
Japan times
※写真 Japan times
COP26が現在開催されています。でもCOP26ってどんな内容なの?と思うかたも多いのではないでしょうか。
COP26とは、「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」の英語の頭文字を取った略語で、国連の「気候変動枠組条約」に参加している国が集まる会議です。
「COP」とは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略で、京都議定書が結ばれた1997年の京都での会議は3回目で、COP3でした。
今回で26回目を迎えるCOP26。
10月31日から11月12日まで、英スコットランド・グラスゴーで行われています。
「人類のターニング・ポイント(turning point for humanity)」とも言われるCOP26は、近く開催される気候サミットで、ネットゼロ(CO2排出量実質ゼロ)への道を開くものといわれており、国連気候変動枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change)の監督下にあり、各国の首脳や政策立案者、気候科学者など、世界中から代表者が集まります。
世界各国のリーダー、そしてデイビッド・アッテンボロー(David Attenborough)からローマ教皇フランシスコ(Pope Francis)、チャールズ皇太子、ビル・ゲイツ氏といった著名人が一堂に会し、年々上昇する地球の温度と、それに伴い激しさを増す自然災害、北極などの氷が溶けることによる海面の上昇、熱波による森林破壊など、数々の現象によって地球と地球上に住む様々な生き物の生存が危うくなっている状態を前に、国際社会がどのような対策をとるのか協議しています。
参加メンバーからも温暖化対策など環境問題の大事さが伝わってきますね。
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素など「温室効果ガス」と呼ばれるものの排出量を、どれだけ減らせるかが、根本的なカギといわれています。
温室効果ガスの排出そのものを減らしつつ、すでに排出した分を森林などに吸収させたり除去したりすることで、実質的な排出量をゼロにするいわゆる「ネットゼロ」を、2050年までに実現することが、気候変動の専門家たちから求められています。
約120カ国の代表団、科学者、環境保護活動家など2万5000人以上が集まるこの会議について国連は、「無軌道な気候変動をコントロールするため、世界にとってベストで最後のチャンス」と叫んでいます。議決は「1国1票」方式で、誰もが発言権を持ち、公平な議論の場でもあるため非常に注目された会議です。
我が国も岸田首相が参加され、スピーチを行いました。
目標の達成に向け、この10年が勝負です。

高い野心をもって、共に全力を尽くしていこうではありませんか。

「2050年カーボンニュートラル」。 日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現していきます。 2030年度に、温室効果ガスを、 2013年度比で46%削減することを目指し、 さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていくことをお約束します。

議長、

日本は、アジアを中心に、再エネを最大限導入しながら、 クリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を作り上げます。

アジアにおける再エネ導入は、 太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、 既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要です。

先進国全体で、年間1000億ドルの資金目標の不足分を、率先して補うべく、日本は、6月に表明した、向こう5年間で、官民合わせて600億ドル規模の支援に加え、アジア開発銀行などと協力し、
アジアなどの脱炭素化支援のための革新的な資金協力の枠組みの立ち上げなどに貢献し、新たに5年間で、最大100億ドルの追加支援を行う用意があることを表明します。

我々が気候変動問題に向き合う時、誰一人取り残されることがあってはなりません。

日本は、対策に全力で取り組み、人類の未来に貢献していきます。

ありがとうございました。

岸田首相のスピーチ抜粋(全文はこちら

とても前向きでチャレンジしていく力強さを感じますね。
しかし残念なことに、 「既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要」との発言から「ゼロエミッション」を掲げながらも、未確立の技術に頼って火力発電を維持する方針を示したことを理由に、気候変動対策に否定的な姿勢を示す国などに贈られる「Fossil of the Day」が日本に授与されてしまいました。(日本以外ではノルウェーとオーストラリアにも授与されています)
石炭火力の段階的廃止が今回のCOPの優先課題であるにもかかわらず、日本は2030年以降も石炭火力を使い続けようとしていること、岸田首相がアンモニアや水素を使った火力発電が「ゼロエミッション火力」になると夢想していると指摘されています。
水素などを火力発電に利用する技術はまだ未開発でコストも高く、このような試みは、地球の平均気温の上昇を産業革命以前の水準より1.5度に抑えるというパリ協定の目標達成を危うくするものだとも批判があがっていました。
また、COP26に参加している国際シンクタンク「E3G」のシニアアソシエイトであるオルデン・マイヤー氏は、水素の製造にはエネルギーが必要であり、岸田首相は水素の供給源について言及していないが、化石燃料を使って製造するのであれば問題があるとの指摘も。
この指摘もごもっともではありますが、ここからわかることは、日本の技術の信頼性がまったく伝わっていないということ。 夢想とされる要因はエビデンス不足であり研究開発の発表と問題意識が世界へ発信されていないのではないかと思います。
会議の中でのホットな話題として、温暖化の影響度が高い農業にも関心が高まっています。
農業はCO2排出の25%に関与し、生物多様性喪失の75%、影響を出していると言われています。
COP26でも、人と気候と自然のための持続可能な農業への正当な移行の一環として、「小規模農家の重要性」について議論がかわされています。
サブリナとイドリス・エルバ(イギリスの俳優 ピープルが選ぶ最もセクシー男性受賞)は、COP26の本会議のひとつで、世界のリーダーや専門家のパネルとともに、人と気候と自然のための持続可能な農業への正当な移行の一環として、小規模農家の重要性について話しました。
世界の食料の72%は小規模農家が生産しているといわれ、うち55%の農家の収入は1日1.9ドルの貧困ライン未満、35%は境界線上です。世界の食料は約65%の貧困層が生産しています。これでは持続可能な農業とはいえません。
しかし、小規模農家が変わることができたら、世界に大きな変化をもたらすことができるということではないでしょうか。
岸田首相の言う通り、日本がアジアを中心に脱炭素社会を作り上げることは急務であり「誰一人取り残されることがあってはならない」を実現していくためにも、日本が弱い部分であるエビデンスの強化と情報発信の強化、解決のために集結する環境を整えながら、
Kabbaraはまずはラオスから小規模農家の可能性を世界へ示し、アジアを中心に誇れる未来の可能性と実績を積み重ねてチャレンジしていきたいと思っております。
まだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、地球環境再生、不耕起栽培、小規模農家改革などに少しでも興味を持たれましたら、実現のためみなさまの活動へのご参加、お待ちしています。
また、ご質問やご意見随時承っております。
下記の【お問い合わせ】よりお願い致します。

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