私の出会ったソーシャルインパクト会社「perfect day Coffee(ドイツ)」

   by Yu Numakura        
私の出会ったソーシャルインパクト会社「perfect day Coffee(ドイツ)」
未来的にも見えるオーガニックデザイン、こだわったコーヒー豆、種類豊富で健康意識の高いフードメニュー。一見、近年日本でもよくあるハイセンスなコーヒーチェーンのように見える一方で、実は裏側で大きな社会貢献をしている「perfect day Coffee」というお店がドイツ・フランクフルト空港にあります。
2016年には、ドイツでも格式の高い店舗デザインアワードを受賞したり、某大手コーヒーチェーンが出店の際に立地を意識したりするほどの、とても人気のあるコーヒー屋さんです。
▲ウィスバーデン支店
▲フランクフルト空港内移動店舗
どんな方にも受け入れられるバランスのとれたとても美味しいコーヒーを提供していることはもちろん、極めて洗練された店舗デザインやカップなどの備品にいたるまで、美術大学で建築デザインを学んでいたわたしの心は、店内にいるだけで動かされました。
2016年ノーベル平和賞を受賞された経済学者ムハマド・ユヌス博士からのご紹介で、わたしはこのperfect dayのオーナーのドミニクさんと出会いました。perfect dayのコンセプトや成り立ち、運営ポリシーなど様々なお話しを一日中聞かせていただいた3泊4日のドイツ旅は今でもはっきりと覚えています。
▲店舗内で説明を受ける一行
▲オーナーのドミニク氏
「情けの気持ちで売れるコーヒーであってはいけないから公開はしてないんだけど・・・」というフレーズからドミニクさんはこの会社で行っている様々な社会的な貢献の取り組みを教えてくれました。
フェアトレードや、環境を破壊しない農法によるコーヒー農園の運営、プラスティックの代替になるナチュラル素材の使用など・・・、本当に地球環境などの社会問題を考慮した会社運営をしていることが分かりました。
その中でもなかなか他の会社で真似できない活動がシングルマザーの積極雇用
perfect dayでは店舗で働くスタッフの半数以上がシングルマザー。実際わたしが訪問したウィスバーデンの店舗ではスタッフ全員がシングルマザーでした。
もちろん片親の積極雇用を行っている企業はあると思いますが、perfect dayではシングルマザー雇用をスタッフ雇用のベースにすることを優先したサービス・商品設計、業務フロー設計されています。
子育てとの両立を実現するために、フライヤーなどの清掃・メンテナンスが必要なものを極力排除し、業務時間最大限効率化や一日3−4時間程度の就労時間を大前提とした勤務管理など・・・。生半可な貢献の意識ではできない本気の取り組みを感じました。
「perfect dayの社会的貢献活動を絶対売りにしない。情けで持続可能なビジネスはできないし、そもそもあってはいけない」
このオーナーの言葉は今でも忘れられません
残念なことに、perfect dayは2021年4月を持ってコロナの影響により閉店してしまいました。本当に残念です。もうこのコーヒーを飲むことはできませんが、このような大きなソーシャルインパクトを生み出すドイツのコーヒー屋さんがあったことはぜひ知っていただきたいです。
いつか、またperfect dayが復活し多くの人々に愛されることを願っています。

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