グリーンウォッシュといわれないために

   by Akihiko Sato        
グリーンウォッシュといわれないために
グリーンウォッシュとは、環境に配慮しエコなイメージを思わせる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語で、ブランドマーケティングにおいて、そのブランドのサステナビリティに対する実績が、実際よりも優れているように主張し、消費者に誤解を与えるようなことを指します。
消費者は、環境や気候に配慮した買い物(エシカル消費)をするためには、企業が発信している情報を信じ製品を選んでいます。いいことに参加しよう!と行動したものが、実際は違い、逆に環境に負荷をかけてしまっていた…なんてことになってしまったら手にとった商品もそれに携わった企業の信頼もなくなってしまいます。
ここ最近の統計では、新型コロナの影響もあり約3割がエシカル消費をより意識しているといいますから、情報発信も慎重に行う必要があります。電通、「エシカル消費 意識調査2020」を実施 より
また、きちんとしている企業でも勘違いから、あそこはグリーンウォッシュだ!といわれてしまうことも実際に起き始めています。
その勘違いの防止や正しい行動をするためには、企業が環境に配慮した〜というだけではなく、いつ、どこで、だれが、何をしたか?、それはどういう効果になったのか?という行動の履歴と証明、それが正しいというエビデンスがセットとなり、わかりやすく表記されていないと、混乱の収束は難しいかもしれません。
【サプライチェーン排出量】
環境に配慮といった背景の多くは、二酸化炭素の排出量削減を謳っている場合が多いと思います。 では、その二酸化炭素の削減はどの部分に由来するのか?企業努力によって削減が可能になるのはスコープ3の事業者の活動に関連する他社の排出、つまりスコープ1,3に含まれない燃料及びエネルギー関連活動、スコープ1 燃料の燃焼(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出「燃料の燃焼、工業プロセス」)、スコープ2 電気の使用(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)です。
▲環境省 物語でわかるサプライチェーン排出量算定より
スコープ3には15のカテゴリ分類があります。
▲環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム Scope3 15のカテゴリ分類より
環境配慮を謳う商品やサービスはどのカテゴリーからそうなっているのか?を知ることで、勘違いや思わぬミスからグリーンウォッシュと言われないようにする努力が必要になるのではないでしょうか。
しかし、どう管理して表現したらいのか?
その基本となるのが、サプライチェーン排出量算定です。
既存のサプライチェーンにサプライチェーン排出量を適用させることで、自社の利用エネルギーの大きさや温室効果ガス排出がどこで発生しているのか?改善策はあるか?企業間にまたがる部分は関係する企業の情報を得ることができるか?とアクションとアウトプットの理解とその先のアウトカム、インパクトの見える化にも繋がります。
▲環境省 物語でわかるサプライチェーン排出量算定より
環境省でも
サプライチェーンの把握・管理への社会的要請の高まり 製品を対象として原料調達・製造・物流・販売・廃棄までの排出量を評価することを「製品 のLCA(ライフサイクルアセスメント)」といいます。これに対してサプライチェーン排出量(※)を評価するこ とは「組織のLCA」とも呼ばれます。製品だけではなく組織のサプライチェーン上の活動に伴う排出量を算定 対象とすることは企業活動全体を管理することにも繋がるため、企業の環境経営指標や機関投資家の質問項 目として使用される動きが見られます。この背景には、環境側面だけではなく経済・リスクの側面からもサプ ライチェーン把握・管理が重視されていることがあります。

サプライチェーン 排出量算定の考え方より
すでにある資料をもとに取引先や依頼先も整理が必要で対策は急務ではないでしょうか。
【世界の動向】
世界的にも企業情報の開示の提唱に大きな変革が起きています。
企業の多くはCDPのような自主基準やSABBのような測定ガイドラインを活用しパフォーマンスの透明性を選択してきました。英国では2025年までにすべての企業に気候変動による事業への影響を開示することが義務付けられました。これを主導しているのはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)ですでに1,500の組織が署名済みと言われております。
このような流れはすぐに中小企業にも対策が求められようになるのも時間の問題ではないでしょうか。 中小企業は大企業と違いサプライチェーンの構築だけでも大変になりますし、気候変動の専門知識も必要になります。それと同時に消費者やユーザーへの説明もしなくてはなりません。
予算を新たに使わなければならないなど、次世代の改革も合わせるとしても負担も大きくなってしまいます。
Kabbaraでは、サプライチェーン、トレーサビリティーを強化しつつ同じ基準、規格にて参加できるインパクトプロバイダー事業としてスタートしています。 コーヒー事業から実証し、色々な企業が利用し使いやすい仕組みに出来るようチャレンジし続けます。
現在、ソーシャル・インパクト・マネジメント・システム(SIMS)をインパクトチェーン、トレーサビリティー、サプライチェーンに対応すべく、研究を進めております。
まだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、インパクトチェーン、トレーサビリティー、サプライチェーン、地球環境再生、不耕起栽培、小規模農家改革などに少しでもご興味を持たれましたら、実現のためみなさまの活動へのご参加、お待ちしています。
また、ご質問やご意見随時承っております。
下記の【お問い合わせ】よりお願い致します。

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