買いたい人は多いのになぜサステナブル商品は売れないのか?

   by Takumi Hisamatsu        
買いたい人は多いのになぜサステナブル商品は売れないのか?
SDGsの達成に世界的に関心が高まる中、サステナブル商品という言葉を聞く機会が増えてきました。サステナブル商品とは単に環境にやさしいエコな商品ではなく、生産から販売、消費、廃棄までを通して、環境や経済などに配慮している商品のことです。
そんなサステナブル商品ですが、1つ気になるのは「サステナブルであれば売れるのか?」ということ。記事のタイトルでもネタバレしているので先に答えを言うと、サステナブル商品は売るのが難しいのが現状です。
今回は日本も含む、各国のデータをもとにそのあたりを考察していきます。

7割が「買いたい」と思っているが、消費行動に反映しているのは3割

株式会社メンバーズが2021年9月に20代以上の男女1,118名を対象に行った「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査」の調査結果によると、約7割が気候変動に配慮した商品を購入したい」と回答しています。しかし、実際にサステナブル商品を購入したことのある人は3割にとどまり、購入したいと回答した声との差が生まれています。
また、電通と電通総研が12カ国で実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」では、消費意識に対する回答が、「公的な意義」より「私的な満足度を優先」の割合が高く、61.6%になりました。
またこれは日本のみでなく、ドイツ、イギリス、アメリカでも同様の数字が出ており、先進国では環境に配慮されているかよりも、自分の満足度が優先されていることが分かります。
出典:株式会社電通・電通総研丨サステナブル・ライフスタイル意識調査2021より

サステナブルだけでは売るのは難しい

さきほどの調査結果からも分かるとおり、多くの人は気候変動に配慮した商品を選ぶほうが良いことは理解していますが、購入までに至っていません。「サステナブル商品を買うべきだとは思うんだけど、実際に買うとなるとちょっとな〜」といった感じですね。
サステナブル商品を世の中にさらに広げるには、この「ちょっとな〜」を超えなければなりません。
ではそのために何が必要なのか?
認知度を上げてもっと多くの人に知ってもらう、気候変動に対する意識を高めるためにテレビなどのメディアで情報を伝える・・・。色んな方法が思い浮かびますが、最も重要なのはサステナブル以外の価値を提供することだと思います。
サステナブル商品だからとか、環境に優しいからといった理由ではなく、「単純に欲しいものを買ったら、たまたまサステナブル商品だった」を作ることが大事ですね。
書籍「ブランディングの教科書」の中で、ブランドが提供する価値には大きく分けて4種類があり、その中でも利用者にとって最もベーシックな喜びが「実利を得られる」喜びと書かれています。
例えば、「品質が良くて長持ちする」、「性能が良い」、「ユーザビリティが高く使いやすい」、「利用用途が多く色んなものに使える」といったものです。

プリウスが人気の理由は環境に優しいではなく”燃費が良い”から

世界初の量産ハイブリッドカーとして誕生し、世界累計販売台数410万台を誇るトヨタのプリウス。
2017年の年間Co2排出抑制量は、東京都の面積約3倍の森林(6億本相当)に匹敵する580万㌧に達し、気候変動対策に貢献しています。
出典:トヨタ丨プリウス資料PDFより
そんなエコカーとしてのイメージが強いプリウスですが、購入者調査によると実際の購入理由は「環境にやさしい」は少数派で、「燃費がいい」が圧倒的に多いそうです。
燃費がよく少ない燃料でたくさん走れるため車の維持費を抑えられるという、まさに「実利を得られる」喜びが大きいからこそ多くの人に選ばれているというわけです。

目指すは「気づいたらサステナブル」

「このままだとあと1年で地球が壊滅するので、これからは環境へ配慮した行動を徹底してください。国からの命令です!」みたいなことが無い限り、提供価値がサステナブルだけの商品を多くの人に買ってもらうのは難しいと思います。
かっこいいから、カワイイから、オシャレだから、使いやすいから、丈夫だから・・・、だから買ったんだ!あと知らなかったけど環境にも良いらしい。これがサステナブル商品の目指すべき姿だと思います。
当然、簡単に実現できる話ではないですが、それがソーシャルビジネスであり、また日本人が1,000年以上も前から大事にしてきた三方良しの考えです。Kabbara(カバーラ)という社名の由来の1つでもある「継承」を体現するためにも、三方良しの考えや、健康な地球を未来に引き継いでいけるよう努力していきます。
まだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、DeFi、メタバース、NFT、web3、地球環境再生、土壌改良、温室効果ガス吸収、不耕起栽培、小規模農家改革、カーボンクレジット創出活動などに少しでも興味を持たれましたら、これら実現のためみなさまの活動へのご参加お待ちしています。
また、ご質問やご意見随時承っております。
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