気候変動に取り組む国際イニシアチブとは? どんな役割があるの?

   by Tsuyoshi Mizushima        
気候変動に取り組む国際イニシアチブとは? どんな役割があるの?
いつも、Kabbara Timesをお読みいただきありがとうございます。
Kabbara合同会社水島です。
SBTの取得をする際の設問に「SBT取得の理由」という項目があります。回答を見てみると、殆どの会社に ”会社のブランディング” という回答が見受けられます。「ステークホルダーに対して持続可能への説得力を発揮する」という目的は、企業として当然です。本日は、SBTを含む気候変動対策として取り組む、国際イニシアチブに関してご紹介いたします。
本日のトピックです。
①国際イニシアチブとは?どんな役割?
②国際イニシアチブの種類
③影響力

①国際イニシアチブとは? どんな役割があるの?

Wikipediaによると、「イニシアティブ(英語: initiative)またはイニシアチブは、開始・先制・率先・主導権などの意味を持つ言葉。」と出てきます。また、「構想・計画」という意味があります。ビジネスにおいては「主導・先導」といった意味で使用されることが多いようです。ここでの解説は、世界の気候変動に対する取り組みですので、気候変動対策としての企業の脱炭素化を促進する枠組みを、「主導・先導」する国際機関。ということになります。
企業の利益優先主義がもたらした環境破壊をこれ以上すすめる訳にはいきません。環境問題を解決するための取り組みを行うことは、もはや企業の義務といっても過言ではないでしょう。企業活動の重要なリソースとして資本がありますが、2006年国連ではPRI(責任投資原則)を発表し、投資家がESGに取り組むことを求めました。
ESGとはEnvironment( 環境 )Social( 社会)Governance( 企業統治)の略です。目先の利益を追い求めるだけではなく、持続可能な社会を築くために、環境問題解決に向けて企業に対し努力することを促すものです。以前は、企業が環境問題や社会問題に取り組むことはコストと捉えられ、経済的な犠牲が大きいと考えられていました。しかし、現在は環境ビジネスこそ、イノベーションの創出、新たな雇用を生み出すなど、長期的な経済リターンがあることがはっきりとわかっています。環境ビジネスは、今後ますます市場や投資が拡大することは間違いありません。
国際イニシアチブは、投資判断の指標としての役割にもなっています。

②国際イニシアチブの種類

▼EP100(イーピー100)
Energy Productivity100%の略称。
パリ協定達成を目的に、脱炭素化などを推進する国際NGOクライメイトグループ(The Climate Group)により運営されている事業のエネルギー効率を倍増させること(省エネ効率を50%改善等)を目標に掲げる企業が参加する国際企業イニシアチブです。消費エネルギー単位毎の経済生産性を2倍にすることで、企業はエネルギーコストの削減および競争力強化の恩恵を受けることができると同時に、排出削減、雇用創出、エネルギー安全保障の改善を実施することができます。
( 2022年12月現在参加日本企業 4社)
▼EV100(イーブイ100)
Electric Vehicle 100%の略称です。
事業活動で使うモビリティを100%ゼロエミッションにする。企業による電気自動車の使用や環境整備促進を目指す2017年9月に発足した国際イニシアチブ。加盟企業が事業で利用する車両を電気自動車(EV)化するだけでなく、関連施設に充電設備などを充足することで、従業員や顧客のEV使用率を向上させる取り組みも含みます。
( 2022年12月現在参加日本企業 7社)
▼RE100(アールイー100)
Renewable Energy 100%の略称。
事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアチブです。RE100 には、情報技術から自動車製造までフォーチュン・グローバル500 企業を含む多様な分野から企業が参加し、その売上合計は6 兆6000 億米ドルを超えています。The Climate Group がCDP とのパートナーシップのもとで主催しています。また、We Mean Business 連合の一部としても運営されており、日本では2017 年4 月より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が地域パートナーとして、日本企業の参加を支援しています。
( 2022年12月現在参加日本企業 77社)
▼TCFD(ティーシーエフディー)
Task force on Climate-related Financial Disclosuresの略称。
G20の要請を受け、金融安定理事会(※FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された。日本では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨する、国際的な組織です。TCFDは環境問題だけでなく投資家への判断材料としての目的も含まれています。財務諸表だけでは見えない、気候変動による企業の潜在的リスクを見える化するプラットホーム。
(2022年11月現在1,137の日本企業・機関が賛同)
※FSBとは、各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関。
▼SBT(エスビーティー)
Science-based Targetsの頭文字を取った略称。
企業に対し、パリ協定に整合した気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ、1.5度に抑えるという目標に向けて、削減目標を設定することを推進しています。気候変動対策に関する情報開示を推進する機関投資家の連合体である(CDP)と、国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の、国際機関4団体によって2014年9月に設立されました。
( 2022年12月現在参加日本企業 375社)

③影響力

※弊社による独自評価
こちらは、各国際イニシアチブの特徴からそれぞれのポジションを表現してみました。数あるイニシアチブの中でも自社の温室効果ガス排出量削減の具体的な数値目標を定めるSBTは、唯一、直接的な排出量の削減という結果にコミットすることから影響力の高い取り組みであると思います。
同時に中小企業にとって、着手のしやすさや、ステークホルダーへの説得力などを考え、弊社としてはSBTへの参加を推奨するSBT認定推進計画を進めています。(※あくまでも弊社における独自評価)
本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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