ESG活動と企業の財務成績:持続可能性、多様性、従業員満足がもたらす成果

   by Akihiko Sato        
ESG活動と企業の財務成績:持続可能性、多様性、従業員満足がもたらす成果

こんにちは、佐藤です。

先日、2023.07.01に、下記リンク先の記事にて
調査報告:企業によるESGの取り組み、財務成績の向上と相関あり
持続可能性、多様性、従業員満足に関するESG活動は、企業のより強力な財務の収益性や成長と相関している
という内容が上がっており、4つの相関関係と内容を少しまとめました。

ESG活動と企業の財務成績:持続可能性、多様性、従業員満足がもたらす成果

2023年4月、コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーと企業のサステナビリティ評価を専門とするエコヴァディスが共同で発表した調査報告書によれば、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)活動は、財務の収益性や成長と強く相関していることが明らかになりました。この調査は、約10万社を対象に、ESGの活動と成果が企業に与える影響について行われました。

この調査から、以下の4つの重要な相関関係が明らかになりました。

  1. 経営陣に女性が多い企業ほど財務成績が良い
  2. 炭素集約型産業(輸送や工業製品など)では、再生可能エネルギーの利用がEBITDA(金利・税金・償却前利益)の割合の向上と相関している
  3. サプライチェーン内の倫理、環境、労働慣行を重視する企業は、そうでない企業よりも利益性が高い
  4. ESG活動でリードしている企業では従業員の満足度が高く、従業員の満足度が高い企業は成長が早く、利益率も高い

これらの結果は、企業がESG活動に取り組むことの重要性を示しています。しかし、調査対象企業の8割を占める非公開会社のESG活動は、公開会社に比べて遅れており、改善の余地が大きいことも指摘されています。

では、これらの相関関係を詳しく見ていきましょう。

1.経営陣に女性が多い企業ほど財務成績が良い

これは、多様性と企業の財務成績との間に明確な相関関係があることを示しています。経営陣の多様性は、新たな視点やアイデアをもたらし、企業の問題解決能力を高め、結果的には財務成績の向上につながり、経営陣の多様性が企業の財務成績に良い影響を与えるという結論は、多くの研究で裏付けられています。例えば、立命館大学の研究では、女性役員と企業業績、株価との関係が検証されています。また、経済産業研究所の報告書では、女性活用によって企業業績が高まると結論付けられています。これらの研究結果は、経営陣の多様性が企業の財務成績を向上させる重要な要素であることを示しています。

2.炭素集約型産業(輸送や工業製品など)では、再生可能エネルギーの利用がEBITDA(金利・税金・償却前利益)の割合の向上と相関している

炭素集約型産業では、再生可能エネルギーの利用が企業の財務成績に直接的な影響を与えています。これは、再生可能エネルギーの利用が炭素排出量を削減し、企業のコスト効率を改善するためです。さらに、再生可能エネルギーの利用は、企業のサステナビリティへの取り組みを示し、その結果、企業のブランド価値を高める可能性があります。これらの要素が組み合わさることで、再生可能エネルギーの利用がEBITDAの割合の向上と相関するのです。

再生可能エネルギーの利用と企業の財務成績との関連性については、多くの研究や報告が存在します。例えば、NTTの環境エネルギービジョンでは、再生可能エネルギーの利用を通じて環境負荷をゼロにする目標が掲げられており、これが企業の財務成績にも寄与するとされています。

3.サプライチェーン内の倫理、環境、労働慣行を重視する企業は、そうでない企業よりも利益性が高い

企業がサプライチェーン全体で倫理的な行動を取り、環境に配慮し、労働者の権利を尊重することは、その企業の利益性を高める可能性があります。これは、サプライチェーン全体でのこれらの取り組みが、企業のリスクを減らし、ブランドの評価を高め、顧客の信頼を得るために重要であるからです。これらの要素は、企業の財務成績に直接的な影響を与え、結果的には利益性の向上につながります。

サプライチェーン内の倫理、環境、労働慣行を重視する企業の利益性が高いという結論は、多くの研究で裏付けられています。例えば、NECのガイドラインでは、労働者の過労は生産性の低下、離職の増加、怪我および疾病の増加と明確なつながりがあることが示されています。これらの研究結果は、サプライチェーン全体での倫理的な行動、環境に配慮した行動、労働者の権利の尊重が企業の利益性を高める重要な要素であることを示しています。

4.ESG活動でリードしている企業では従業員の満足度が高く、従業員の満足度が高い企業は成長が早く、利益率も高い

ESG活動をリードしている企業では、従業員の満足度が高い傾向があります。これは、ESG活動が従業員の働きがいやモチベーションを高め、その結果、従業員の満足度を向上させるからです。また、従業員の満足度が高い企業は、従業員の生産性が高まり、その結果、企業の成長が早く、利益率も高くなる傾向があります。これらの要素は、ESG活動が企業の財務成績に直接的な影響を与え、結果的には利益性の向上につながることを示しています。

ESG活動と従業員の満足度、企業の成長と利益率との関連性については、多くの研究が存在します。例えば、McKinse&Companyの報告では、社員の満足度は株主利益率と正の相関関係にあるとされています。

以上の研究結果から、ESG活動をリードしている企業では、従業員の満足度が高く、その結果、企業の成長が早く、利益率も高くなる傾向があることが明らかになります。これは、ESG活動が従業員の働きがいやモチベーションを高め、その結果、従業員の生産性が向上し、企業の成長と利益率の向上に寄与するからです。

ESG活動は企業の財務成績に直接的な影響を与え、結果的には利益性の向上につながることが明らかになりました。

企業がESG活動に積極的に取り組むことの重要性を示しています。
これらの活動は企業の成長と利益性を高めるだけでなく、社会全体の持続可能性にも寄与します。したがって、企業はESG活動に戦略的に取り組むことを求められます。

しかし、調査対象企業の8割を占めた非公開会社によるESG活動は、公開会社に比べ遅れており、改善の余地が大きいことも指摘されています。これは、非公開会社がESG活動に取り組むことの重要性を理解し、積極的に取り組む必要があることを示しています。非公開会社によるESG活動が公開会社に比べて遅れているという調査結果は、非公開会社がESG活動に取り組むことの重要性を理解し、積極的に取り組まなくてならないということではないでしょうか。

まとめると、ESG活動は企業の成長と利益性を向上させるための重要な戦略的ツールであり、社会全体の持続可能性に寄与する手段でもあります。これらの活動に積極的に取り組むことで、企業は社会的責任を果たすだけでなく、自社の成長と利益性を向上させることができます。また、非公開会社においても、公開会社と同様にESG活動に取り組むことが重要であることが強調されています。

これらの活動を効果的に行うためには、企業がESG活動の重要性を理解し、それを経営戦略の一部として取り入れ、その成果を公開し透明性を確保することが必要です。これにより、企業はステークホルダーからの信頼を得ることができ、その結果、企業の成長と利益性をさらに向上させることができます。

最後に
ESG活動は企業の社会的責任を果たすだけでなく、企業の成長と利益性を向上させるための重要な戦略的ツールであるということを忘れてはなりません。企業は、社会全体の持続可能性に寄与するとともに、自社の成長と利益性を向上させるために、ESG活動に積極的に取り組むことが求められます。

※ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉で、この三側面を考慮した投資活動や経営・事業活動のことを指します。

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