グリーンウォッシュ規制強化の波、日本も追随すべき時

   by Akihiko Sato        
グリーンウォッシュ規制強化の波、日本も追随すべき時

グリーンウォッシュ規制強化の波、日本も追随すべき時

こんにちは、佐藤です。

今日は、オーストラリアから届いた重要なニュース「根拠のない「環境配慮」「サステナブル」表現、豪では違法に/遵守しない場合、約48億円の罰金も」についてお話ししたいと思います。

企業が環境に配慮しているかのように見せかける「グリーンウォッシュ」に対する規制強化の動きです。
順守しない場合、オーストラリア消費者法違反となり、5000万豪ドル(約48億円)もしくは違反によって得た利益の3倍の罰金が科される可能性があるとしています。

この動きは、私たち日本でも注視すべき重要なトピックであり、今後のサステナビリティへの取り組みに大きな影響を与えるでしょう。

 

|グリーンウォッシュとは何か?
まず、グリーンウォッシュとは何か、その背景を理解するために、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)の調査結果を引用します。

ACCCは2023年3月に、企業247社を対象に環境や持続可能性に関する表現についての調査を行い、その結果、対象企業の57%がサステナビリティに関する過大マーケティングを行っていたと発表しました。これは、企業が自社の製品やサービスが環境に優しいと主張する一方で、その根拠が不十分であったり、誤解を招く表現を用いていたりする現象を指します。

 

|グリーンウォッシュが問題な理由
では、なぜグリーンウォッシュが問題なのでしょうか。
それは、消費者が誤った情報に基づいて製品やサービスを選択することで、真に環境に優しい製品やサービスが適切に評価されない可能性があるからです。また、グリーンウォッシュは、企業が環境問題に対する真剣な取り組みを避け、表面的なイメージだけを追求する傾向を助長します。これは、地球規模での環境問題解決にとって大きな障害となります。

 

|ACCCの新たなガイダンス案
そこで、ACCCは新たなガイダンス案を提出し、企業が環境に関する主張を行う際の8つの主要原則を定めました。

それらは以下の通りです:

  1. 環境に関する主張が正確で、真実かつ事実に基づいて正しいと保証すること
  2. サステナブルの主張を裏付ける証拠があること
  3. 重要な情報を隠さないこと
  4. グリーンだと主張する前提や制限を説明すること
  5. 広範囲でかつ制限のない形で、「環境にやさしい」「サステナブル」といった主張をしないこと
  6. 明確でわかりやすい言葉を使うこと
  7. 視覚的要素にも責任を負うこと
  8. 企業のサステナビリティ・トランジション(持続可能性移行)について直接かつオープンであること

これらの原則は、企業が環境に対する責任を果たし、消費者の信頼を獲得するために重要です。しかし、それぞれの原則には課題が存在し、それを解決するための対策が必要です。

このような原則がオーストラリアから発信され世界へと影響が拡大していくと仮定した場合、このような厳しい基準を考慮することで、これからくる大きな波に対応していく必要があるのではないでしょうか。

内容を見てみると、エビデンスが非常に重要であることが伺えます。

今回は、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)を活用してこれらの原則にどう準拠できるか?を考えてみました。

SBT(Science Based Targets)の役割

ここで、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)の役割を考えてみましょう。SBTは、企業が気候変動に対する取り組みを科学的に証明し、その目標を設定するための一つの手法です。それぞれの原則に対して、SBTがどのように対応できるかを以下に示します。

 

原則1:環境に関する主張が正確で、真実かつ事実に基づいて正しいと保証すること
SBTは、企業が自身の製品やサービスの環境影響を科学的に評価するためのフレームワークを提供します。これにより、企業は自社の環境影響を正確に評価し、その結果を基に環境に関する主張を行うことができます。

 

原則2:サステナブルの主張を裏付ける証拠があること
SBTを採用することで、企業は自社の環境目標が科学的な根拠に基づいていることを証明できます。これは、サステナブルの主張を裏付ける強力な証拠となります。

 

原則3:重要な情報を隠さないこと
SBTは透明性を重視します。企業はSBTを通じて、自社の環境目標とその達成状況を公開することが求められます。これにより、企業は重要な情報を隠さず、消費者やステークホルダーと共有することができます。

 

原則4:グリーンだと主張する前提や制限を説明すること
SBTは、企業が自社の環境目標を設定する際の前提や制限を明確にします。これにより、企業は自社の環境目標がどのような前提や制限に基づいて設定されているかを説明することができます。

 

原則5広範囲でかつ制限のない形で、「環境にやさしい」「サステナブル」といった主張をしないこと
SBTは、企業が自社の環境目標を具体的かつ明確に設定することを要求します。これにより、企業は「環境にやさしい」「サステナブル」といった広範囲でかつ制限のない主張を避けることができます。

 

原則6:明確でわかりやすい言葉を使うこと
SBTは、企業が自社の環境目標を明確に表現することを求めます。これにより、企業は専門的な用語や複雑な表現を避け、一般の消費者が理解できるような言葉を使用することができます。

 

原則7:視覚的要素にも責任を負うこと
SBTを採用する企業は、自社の環境目標とその達成状況を視覚的に表現することが一般的です。これにより、企業は視覚的要素にも責任を負い、そのメッセージが誤解を招かないようにすることができます。

 

原則8:企業のサステナビリティ・トランジション(持続可能性移行)について直接かつオープンであること
SBTは、企業が自社のサステナビリティ・トランジションについて直接かつオープンであることを求めます。企業はSBTを通じて、自社の環境目標とその達成状況を公開し、その進捗状況を定期的に報告することが求められます。

以上のように、SBTはこれらの原則を満たすための有効な手段となります。これにより、企業はグリーンウォッシュを避け、真剣に環境問題に取り組むことができるのではないでしょうか。

結論:日本もグリーンウォッシュ規制の強化に向けて一歩を踏み出す

これらの課題と対策を見ると、真実やエビデンスをどうとっていき、誇張することなく適切に表現していくことを考えることで、私たち日本もグリーンウォッシュ規制の強化に向けて一歩を踏み出すことができるようになります。

環境問題は、私たち一人一人が関わる地球規模の課題です。

企業だけでなく、消費者としても真剣に取り組むべき時です。

グリーンウォッシュ規制の強化は、その一環と言えるでしょう。私たち日本も、この流れを追いかけ、環境に対する真剣な取り組みを進めていけるよう努力していきたいですね。

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