CO2という目に見えない物体が、どれほどの価値があるのか?

   by Tsuyoshi Mizushima        
CO2という目に見えない物体が、どれほどの価値があるのか?

今まで人類が好き勝手に排出し続けたCO2という目に見えない物体が、今後脱炭素社会においてどれほどの価値があるのか?その序章として昨年、弊社も参加した実証実験において定められた「CO2の価値(基準価格)」をご紹介します。

昨年、経済産業省と東京証券取引所(東証)は、「カーボン・クレジット市場」と呼ばれるCO2排出量を取引する場を実証するプロジェクトを始めました。この実証は、2022年9月から2023年1月まで行われ、145の企業や地方公共団体が参加しました。

カーボン・クレジット市場は、企業がCO2排出量の取引を行う場所で、政府が「GXリーグ基本構想」の一環として進めています。このプロジェクトの最初の段階では、既存のJクレジットの取引が行われました。具体的には、Jクレジット(通常型/プログラム型)、国内クレジット制度からの移行型、J-VER制度からの移行型、地域版Jクレジット、旧J-VER、旧地域版J-VER、旧国内クレジットが取引の対象となります。

2022年9月22日から始まった実証プロジェクトのセッションでは、各売買銘柄の基準価格が公表されました。
下記をご参照下さい。(※基準価格は、上下50%の制限値幅を持つ中心値を意味します。)

東京証券取引所資料より

当然ですが、方法論によって市場価格に違いが生まれてきます。ただ、農業、森林に関するクレジットが現時点においても高値基準で設定されたことはびっくりでした。単純にそれだけ価値の高い削減行為ということなのでしょう。ある意味農業、林業に従事するみなさんにとっては、とても社会的意義(ソーシャルインパクト)が高く、且つ大きなビジネスチャンスであるとも言えるのではないでしょうか?

もうまもなく、今までの時代には存在しなかったCO2という新たな新しい価値取引が始まろうとしています。

下記、株式会社東京証券取引所 カーボン・クレジット市場整備室より、
2023/06/09「カーボンクレジット市場の開設について」のお知らせをご紹介します。

当社は、2022年度に経済産業省から受託、実施した「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」から得た知見と市場運営の経験を活かして、カーボン・クレジット市場を開設することとし、本日、制度要綱を公表すると共にパブリック・コメントを開始しましたのでお知らせします。

今後、カーボン・クレジット市場に参加するための「カーボン・クレジット市場参加者」の登録申込みの受付けを2023年7月目途に開始し、システム接続テストなどを経て、カーボン・クレジット市場の開設及び売買開始(当初は、J-クレジットが対象となります。)を2023年10月目途に行う予定です。

2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、カーボンプライシングの制度設計として「排出量取引制度」の導入が示され、2023年度からの試行取引、2026年度からの本格稼働が予定されており、その中で2023年度における「カーボン・クレジット市場の創設」が期待されております。

日本取引所グループでは、中期経営計画2024の重点施策の一つとして「日本におけるカーボン・クレジット市場創設に向けた検討」を掲げており、今後とも、政府における排出量取引制度の進展と共に、中長期的な視点からカーボン・クレジット市場の発展に貢献していきたいと考えております。

関連リンクについては、以下のページをご覧ください

制度要綱/パブリック・コメント
制度概要

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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