いつもお読みいただきありがとうございます。カーボンニュートラルに向け、世界中で様々な再生可能エネルギーへの転換が検討されている中、新しい再生可能エネルギーを生み出す仕組みづくりにも現在膨大なお金と時間が費やされています。
その中でも世界中で話題となっているのが『宇宙太陽光発電』です。
宇宙太陽光発電(うちゅうたいようこうはつでん、Space-Based Solar Power、略称:SBSP)は、宇宙空間で太陽光発電を行い、その電力を地球上に送るという壮大な構想です。宇宙太陽光発電は英語でSSPSのほかに、SPS(Solar Power Satellite)、SBSP(Space-Based Solar Power)などと呼ばれることもあります。
宇宙太陽光発電
宇宙空間に巨大な太陽電池パネルを搭載した衛星を打ち上げ、太陽光エネルギーを電気に変換します。
変換された電力は、マイクロ波やレーザーに変換されて地球へ送られ、地上にある受電施設で電気エネルギーとして利用されます。地上での発電量に左右されず、24時間365日安定的に電力を供給できる可能性があります。地球規模のエネルギー問題解決や、災害時の電力供給などに期待されています。
高度約3万kmの静止軌道に太陽電池を搭載した衛星を配備すれば、衛星から見て太陽が地球の影にほとんど入らないため、昼夜を問わずに発電可能です。さらに、大気による減衰が無いため、単位面積当たりで地上の約10倍とされる太陽光のエネルギーを利用できる点が最大の特徴です。
宇宙太陽光発電のメリット
宇宙太陽光発電のメリットと課題は以下の通りです。
・低環境負荷
一度打ち上げると、化石燃料を利用せず発電が可能であるため環境に優しい再生エネルギーになります。
・地球より強度の高い太陽光を利用できる
宇宙空間でより太陽に近い位置にパネルを設置することで、強力な太陽光を集めることが可能です。そのエネルギーは5〜10倍以上と試算され、送電時のエネルギー変換ロスを含めて考えても、現在の太陽光発言よりもはるかに効率よく発電できると考えられています。
・価格高騰の影響が少ない
例えば、火力発電のために必須なのは石炭や天然ガスといった化石燃料。様々な国が国外から輸入して補っています。しかし、紛争や世界情勢の影響で化石燃料は高騰する場合があります。宇宙太陽光発電が実現した場合、それらの影響を受けることは少なくなり、一定の金額で電力が供給できると予想されています。
・天候などにとらわれず、安定した電力供給が実現
宇宙では、天候に影響されないことはもちろん、地球の自転により太陽が隠れることもないため、24時間発電することが可能なのです。
宇宙太陽光発電の課題
・コスト面の削減
現在のままだと建設・運用に莫大なコストがかかってしまいます。実現のためには輸送用ロケットの大型化や、低価格で打ち上げが可能なロケットの開発等が必要になってくるでしょう。
・宇宙ゴミ(スペースデブリ)や故障の際の対処が難しい
宇宙ゴミとは、軌道上にある壊れた人工衛星やロケットの部品など、宇宙に漂う人工物を指します。大小さまざまな物体が秒速7〜8kmで周回しているため、1mmのゴミであってもパネルに穴をあけてしまうと言われています。その際の対応方法も課題の一つとなっています。
・運用を終えたシステムの廃棄方法に課題がある
送電・受信ともに、非常に大きな設計物となるため、寿命を迎えたシステムの廃棄方法や再利用方法も大きな課題のひとつとなっています。
宇宙太陽光発電についてのまとめ
約100億円をかけ、2019年から宇宙太陽光発電の本格的なプロジェクトを始動しているアメリカ。中国も2021年より研究所を建設し、本格的な計画を進めているようです。
日本でも2022年度から宇宙太陽光発電の実証試験を本格化し、JAXAと文部科学省はISSへの物資配達用のロケットに太陽光パネルを搭載して打ち上げ、2023年にもパネルを宇宙空間で展開する大規模実証も予定されています。
再生エネルギーが注目される中、究極の再生エネルギーと言われる宇宙太陽光発電は大変魅力的です。課題ももちろん多くありますが、これまで様々な課題をクリアしてきた私たち人類の今後の展開に大きく期待していきましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。次回の記事を楽しみにお待ち下さい。