本日は、国が定める脱炭素アドバイザー資格の認定制度に関してご紹介します。
企業は脱炭素化を進めるにあたり、自社のサプライチェーンにおける温室効果ガスの排出量を把握し削減することが求められています。しかし、そのためには排出量の算定、削減目標の設定、削減策の実施、設備投資の検討、資金調達など、多岐にわたる知識が必要となります。多くの企業、特に中小企業にとって、自社だけでこれらに対応することは困難なため、専門家であるアドバイザーの支援が不可欠です。
そこで、環境省は、質の高いアドバイザーを育成するために、一定の基準を満たした教育プログラムを提供する事業者を認定する枠組みを構築しました。そして、令和5年3月31日には「脱炭素アドバイザー資格制度認定ガイドライン」を制定し、認定制度の活用を促進することで、企業の脱炭素化を人材面から支援しています。
- 脱炭素アドバイザー資格の認定制度とは?
- 3つの認定レベルについて
- 現在の受講可能な認定されたプログラムの紹介
脱炭素アドバイザー資格の認定制度とは?
脱炭素に関わる民間資格について、「脱炭素アドバイザー資格制度認定ガイドライン」に基づいて認定する制度です。日本全体の脱炭素化推進に向けて、適切な知識を備えた人材が企業内外で「脱炭素アドバイザー」として機能を発揮するために創設されました。
金融機関職員、経営コンサルタント、会計士・税理士、自治体・中小企業支援団体職員、事業法人の脱炭素担当者など、脱炭素の取組に関わる幅広い方々に資格を取得いただき、ご活躍を期待する制度です。
3つの認定レベルについて
①脱炭素アドバイザー ベーシック
- 脱炭素に関する顧客とのコミュニケーションの前線に立ち、顧客の状況に応じて必要な対応を見定める営業職員
- 気候変動対応の必要性の説明、脱炭素経営・温室効果ガス排出量削減に関する企業からの相談内容の把握ができる
②脱炭素アドバイザー アドバンスト
- 脱炭素に関する顧客アドバイスの現場において、中核的な役割を果たす職員
- 脱炭素経営の重要性(リスク・機会)、温室効果ガス排出量の計測方法・削減手法について説明ができる
③脱炭素シニアアドバイザー
- 企業の本部・脱炭素専門部署等で専門的なコンサルティングに従事する職員
- 脱炭素に関する包括的なアドバイス(温室効果ガス排出量計測・削減手法の例示、SBT※1目標設定支援、TCFD開示※2支援)ができる
※1 Science Based Targets:パリ協定に整合した科学的根拠に基づく中長期の温室効果ガス削減目標
※2 TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures=気候関連財務情報開示タスクフォース)が提言する情報開示の枠組みに基づいて気候関連情報を開示すること
現在、認定されている受講可能なプログラムの紹介
①脱炭素アドバイザー ベーシック【令和5年10月1日認定】
- サステナビリティ検定「サステナビリティ・オフィサー」 一般社団法人金融財政事情研究会
- サステナブル経営サポート 株式会社経済法令研究会(銀行業務検定協会)
- SDGs・ESG金融 株式会社銀行研修社(一般社団法人金融検定協会)
- 炭素会計アドバイザー資格3級 一般社団法人炭素会計アドバイザー協会
- GX検定ベーシック 株式会社スキルアップNeXt
②脱炭素アドバイザー アドバンスト【令和6年9月1日認定】
- JCNAカーボンニュートラル・アドバイザー・アドバンスト 一般社団法人日本カーボンニュートラル協会
- GX検定アドバンスト 株式会社スキルアップNeXt
③脱炭素シニアアドバイザー
- 現在、認定プログラムなし(2024/11/04)
まとめ:
今回は、企業の脱炭素化を推進する上で重要な役割を担う「脱炭素アドバイザー」の資格制度について解説しました。
環境省が認定するこの制度は、脱炭素アドバイザーの質を担保し、企業が安心して専門家の支援を受けられる体制を作ることを目的としています。ベーシック、アドバンスト、シニアアドバイザーの3つのレベルがあり、それぞれ求められる知識やスキルが異なります。
今後、ますます需要が高まるであろう脱炭素アドバイザー。企業の脱炭素化を支援する専門家として、活躍の場を広げていくことが期待されます。
この記事が、脱炭素アドバイザー資格制度への理解を深め、今後のキャリアを考える上での参考になれば幸いです。
出典元:環境省脱炭素アドバイザー制度
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