COP29 JAPAN PAVILIONに見る日本の脱炭素技術

   by kabbara        
COP29 JAPAN PAVILIONに見る日本の脱炭素技術

気候変動対策は、地球規模で取り組むべき喫緊の課題であり、世界各国がその解決に向けて努力を続けています。その中で、日本は優れた技術力とイノベーションを駆使し、脱炭素社会の実現に向けて積極的に貢献しています。

本記事では、アゼルバイジャンで開かれている気候変動対策を話し合う国連の会議、COP29 JAPAN PAVILIONで紹介されている日本の脱炭素技術に焦点を当て、エネルギー、炭素利用、循環経済、適応の4つのカテゴリーに分けて詳しく解説するとともに、各企業の取り組みを紹介します。

エネルギー分野における日本の脱炭素技術

エネルギー分野では、再生可能エネルギーの利用拡大、水素エネルギーの活用、次世代エネルギー技術の開発など、様々な取り組みが進められています。

  • 大成建設株式会社:ゼロカーボンビル「T-ZCB」と脱炭素技術

大成建設は、日本で初となるゼロカーボンビルの建設に着手し、脱炭素技術の普及を通じて、建物セクターのグリーン転換を加速させています。建設中のゼロカーボンビルは、建築物のライフサイクルにおけるCO2排出量を実質ゼロにする技術を採用し、建物のゼロカーボン化を推進することで、都市の脱炭素化に貢献しています。

また、採光・発電・意匠性を兼ね備える画期的な外装システム「T-Green® Multi Solar」は、オフィスビルの外装やバルコニーなど、様々な規模の新築・リニューアル建物に採用可能です。さらに、JCMを活用してタイの工場とベトナムの開発ビルにおいて実装しています。

  • パナソニック ホールディングス株式会社:3電池連携によるRE100ソリューション

パナソニック ホールディングスは、事業活動に必要なエネルギーを水素や太陽エネルギーで「自給自足」するRE100ソリューションを開発しています。滋賀県草津市にあるRE100実証施設では、純水素型燃料電池+太陽電池+Liイオン蓄電池を最適に組み合わせることで、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄っています。

COP29では、英国・カーディフの電子レンジ工場にて、従来の3電池連携システムに加えて熱エネルギーの有効利用を目指し、給湯や暖房に導入することで総合的なエネルギー効率向上を図っている様子を展示しています。

  • 三菱重工業株式会社:グリーントランスフォーメーションに貢献する脱炭素技術

三菱重工業は、革新的水素製造・発電技術と先進的CCUSソリューションをサブテーマとして、日本の最先端の取り組みを紹介しています。

既存インフラの脱炭素化への取り組みとして、天然ガス焚き発電所の水素転換を進めるために、水素燃焼用燃焼器の開発、及びその実プラントでの技術実証を進めています。また、CO2排出量の削減と共に発生したCO2を回収・輸送し、リサイクル・貯留する取り組み(CCUS)にも力を入れています。

炭素利用分野における日本の脱炭素技術

炭素利用分野では、CO2を回収し、資源として有効活用する技術開発が進められています。

  • 日東電工株式会社:製造業で利用する貫流ボイラーからのCO2分離回収・変換・利用技術の実践

日東電工は、製造工場ボイラーから排出されるCO2を気体分離膜で回収し、変換技術、捕捉技術を組み合わせてCO2を利用することで、世界のCO2削減に貢献しています。

2022年5月にCO2排出量削減の実現に向けてネット・ゼロ宣言を行ったNittoグループは、2050年の実現に向けて環境貢献製品・サービスの一環としてNitto脱炭素システムの構築・検証を開始しました。

循環経済分野における日本の脱炭素技術

循環経済分野では、廃棄物を削減し、資源を循環利用することで、環境負荷を低減する取り組みが進められています。

  • AGC株式会社:太陽光パネルを含むガラスリサイクルと循環経済への取組

AGCは、太陽光パネルの適切な処理によりガラスのリサイクルを実現し、廃棄物及び天然資源利用料の削減、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献しています。

太陽光パネルは今後大量廃棄が見込まれており、その重量の6割を占めるカバーガラスの有効利用は重要な社会課題となっています。AGCはフロート板ガラスへのリサイクルを妨げてきた成分の影響を解明し、また太陽光パネルのリサイクラーとの協業でガラスが分離されたことで、リサイクルの実証実験に成功しました。

適応分野における日本の脱炭素技術

適応分野では、気候変動の影響による被害を最小限に抑え、社会や経済の安定を図るための技術開発が進められています。

  • 株式会社アークエッジ・スペース:衛星を活用した自然環境改変やリスクの検出・分析可能な地理空間情報プラットフォーム

このプラットフォームは、衛星データなどを自動処理し、誰でも簡単に利用できるように可視化することで、自然資本に関するリスク評価や保全活動に役立てることを目指しています。

まとめ

COP29 JAPAN PAVILIONでは、日本の企業や団体が開発した様々な脱炭素技術が紹介されています。これらの技術は、地球温暖化対策に貢献するだけでなく、新たなビジネスチャンスの創出にもつながると期待されます。
日本は、今後も世界に先駆けて脱炭素技術の開発と普及を推進し、持続可能な社会の実現に向けて貢献していくことでしょう。

出典:COP29 JAPAN PAVILION

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