【速報】2035年温室効果ガス60%削減目標!脱炭素社会への道筋と日本の役割

   by kabbara        
【速報】2035年温室効果ガス60%削減目標!脱炭素社会への道筋と日本の役割

はじめに
国は、温室効果ガスの新しい削減目標について、2035年度に2013年度比で60%削減する方針を取りまとめました。地球温暖化は、私たちの社会や経済に深刻な影響を与える喫緊の課題であり、脱炭素化は持続可能な社会を実現するための重要な取り組みです。

この記事では、2035年度に温室効果ガスを60%削減するという新たな目標について、その詳細、削減に向けた具体的な施策、企業や個人の取り組み、そして目標達成への課題と展望などをわかりやすく解説していきます。

 

サマリー

  • 日本政府は2035年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で60%削減する目標を設定しました。
  • 地球温暖化の影響を抑えるには脱炭素社会の実現が不可欠です。
  • 目標達成には、再生可能エネルギー、省エネ、水素・アンモニア活用、CCS技術開発、革新的技術研究、産業構造転換、国民の意識啓発が必要です。
  • 企業や個人の取り組みも重要です。
  • 目標達成には課題もありますが、経済成長と環境保全の両立を目指し、持続可能な社会の実現に向けて取り組みましょう。

地球温暖化は、人間の活動による温室効果ガスの排出が主な原因で、大気中の温室効果ガス濃度の上昇により地球の平均気温が上昇する現象です。主な温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)などがあり、人間の活動によって排出されるCO2が地球温暖化の主な原因とされています。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書は、地球の平均気温が産業革命以前と比べて既に約1.1℃上昇しており、更なる温暖化は、海面上昇、異常気象の激化、生態系の破壊など、取り返しのつかない深刻な被害をもたらすと警告しています。

例えば、海面上昇は、沿岸地域の浸水や高潮の被害を増加させ、異常気象の激化は、熱波、豪雨、干ばつ、台風などの頻度や強度を増加させ、生態系の破壊は、生物多様性の損失や食糧供給への影響をもたらします。

このような状況を踏まえ、地球温暖化の影響を抑制し、将来世代に持続可能な地球を残すためには、温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、脱炭素社会を実現することが必要不可欠です。

これまでの合同会合にて次期目標に関する主な意見

  • 経済合理的に考えると上に凸の形になり、過去を見ても同様の経路であったことも理解しながら、今後の2035年度や2040年度の目標を考える必要がある。
  • 農業分野でも、最初はスロースタートでたんたんと指数関的に伸びていくい形(削減経路)を取らざるをえない状況。雇用を維持しながら国内の自給率を高める意味では、他の産業でも、農業と共通する部分がある。
  • このままエネルギー多消費産業の衰退が進めば、経済と環境の好循環は達成されず、雇用も失われる。1.5C目標への整合は目指しつつ、ある程度柔軟性を持った排出削減目標を考える必要がある。
  • イノベーションによる排出削減効果が現れるまでに時間がかかることを踏まえ、上に凸で将来急速に下がる合理的なパスか、2050年ネットゼロに向けて直線的な削減を目指すべきか、G7の一員としての日本の国際的な発信の在り方も考えながら検討を深めるべき。
  • 将来的にネットゼロにするだけでなく、早期の排出削減の考え方の下、カーボンバジェットの考え方を忘れずに、海外への貢献も含めて検討する必要がある。
  • グローバルストックテイクで合意された、2019年比2035年60%削減に沿って、次期NDCを考えていく必要。野心的な数値目標は、企業にとってイノベーションのきっかけにもつながる。
  • 2050年ネットゼロ、1.5度目標と整合的な道筋を示し続けるということが、企業・社会にとって予見可能性を高めることにつながる。
  • 国際的な1.5C目標や日本の2050年ネットゼロ目標に整合した意欲的な目標を掲げるべきであり、それをダウングレードするようなシグナルを社会に発するべきではないが、現実的な政策に知恵を出すことが必要。
  • 最終的に目指すべきゴールについて、専門性を持った各セクターが共通認識を持って取り組むことが重要。その最終ゴールからバックキャスティングして高い目標を掲げることが重要。
環境省・経済産業省資料|2050年ネットゼロに向けた我が国の基本的な考え方・方向性

2035年度に温室効果ガスを60%削減するという新たな目標は、これまでの2030年度に46%削減するという目標から大幅に上方修正されたものです。これは、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた中間目標であり、地球温暖化を1.5℃に抑えるという国際的な目標であるパリ協定の達成にも貢献するものです。

この高い目標を達成するためには、これまでの取り組みを強化するだけでは不十分であり、革新的な技術の開発や、経済・社会システム全体を抜本的に変革するなど、大胆な対策が求められます。

2035年度の60%削減を達成することは、カーボンニュートラルの実現に向けた重要な一歩であり、2030年代に大幅な排出削減を実現することで、2040年代のカーボンニュートラル達成への道筋をつけることができます。

この目標達成の意義は大きく、地球温暖化防止だけでなく、脱炭素化に向けた技術開発や産業構造の転換を通じて新たな経済成長や雇用創出にもつながり、日本の国際的なプレゼンス向上にも大きく貢献します。

目標達成の意義、国際社会への影響

2035年度の目標を達成することは、地球温暖化の抑制に大きく貢献するだけでなく、日本の国際的なプレゼンス向上にもつながります。脱炭素化に向けた技術開発や産業構造の転換は、新たな経済成長や雇用創出にもつながると期待されています。

国際社会におけるリーダーシップ
日本が2035年度の目標を達成することで、国際社会におけるリーダーシップを発揮し、脱炭素化に向けた国際的な議論を主導することができるでしょう。また、日本の取り組みは、他の国々にも刺激を与え、脱炭素化に向けた世界的な動きを加速させる可能性があります。

経済成長と雇用創出
脱炭素化に向けた技術開発や産業構造の転換は、新たなビジネスチャンスを生み出し、経済成長を牽引することが期待されます。再生可能エネルギー、省エネルギー、水素、CCSなどの分野で、技術革新や新たなビジネスモデルの創出が進むことで、国内外で新たな市場が形成され、雇用が創出される可能性があります。

持続可能な社会の実現
2035年度の目標達成は、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。地球温暖化の影響を抑制し、将来世代に豊かな環境を残すためには、経済成長と環境保全を両立させる必要があります。脱炭素化は、この両立を実現するための鍵であり、持続可能な社会の構築に不可欠な要素です。

削減に向けた具体的な施策

政府は、2035年度の60%削減目標を達成するために、以下のような具体的な施策を推進していくとしています。

  • 再生可能エネルギーの導入拡大:太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電など、再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大します。FIT制度やFIP制度など、再生可能エネルギーの導入を促進するための制度も充実させていきます。
  • 省エネルギーの推進:家庭やオフィス、工場など、あらゆる場面で省エネルギーを推進します。高効率な家電製品の普及、断熱性能の向上、LED照明の導入などを促進します。
  • 水素・アンモニアなどの活用:水素やアンモニアなどのクリーンエネルギーの活用を促進します。燃料電池自動車や水素発電などの技術開発を支援し、水素ステーションの整備なども進めていきます。
  • CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の開発:CO2を回収し、地中に貯留するCCS技術の開発を推進します。CCS技術の実用化に向けた実証実験などを支援し、CO2の排出量削減を目指します。
  • 革新的技術の研究開発:次世代太陽電池、人工光合成、CO2直接空気回収など、革新的な技術の研究開発を支援します。これらの技術の実用化によって、さらなるCO2排出量削減を目指します。
  • 産業構造の転換:脱炭素化に向けた産業構造の転換を支援します。CO2排出量の多い産業に対しては、排出量削減に向けた技術導入を支援するとともに、新たな低炭素産業の創出を支援します。
  • 国民への意識啓蒙:国民一人ひとりが脱炭素化の重要性を認識し、積極的に行動できるよう、意識啓蒙活動を推進します。クールビズやウォームビズなどの国民運動を推進するほか、環境教育なども充実させていきます。

企業の脱炭素化への取り組み事例

  • 再生可能エネルギーの導入:自社で使用する電力を再生可能エネルギーで賄う企業が増えています。
  • 省エネルギー設備の導入:高効率な設備を導入することで、エネルギー消費量を削減する企業が増えています。
  • サプライチェーン全体での排出量削減:サプライヤーにも協力を求め、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に取り組む企業が増えています。
  • 環境に配慮した製品・サービスの開発:環境負荷の少ない製品やサービスを開発・提供する企業が増えています。

個人のライフスタイルにおける脱炭素化

  • 省エネ家電の利用:エアコンや冷蔵庫など、省エネ性能の高い家電製品を選ぶようにしましょう。
  • 公共交通機関の利用:自家用車の利用を控え、電車やバスなどの公共交通機関を利用しましょう。
  • マイバッグの持参:買い物に行く際は、マイバッグを持参し、レジ袋の利用を控えましょう。
  • 地産地消:地元で生産されたものを消費することで、輸送に伴うCO2排出量を削減することができます。
  • 環境に配慮した製品の購入:環境負荷の少ない製品を選ぶようにしましょう。

目標達成への課題と展望

2035年度目標の達成には、いくつかの課題も存在します。

  • 再生可能エネルギー導入における課題:再生可能エネルギーの導入には、土地の確保、電力系統の安定化など、様々な課題があります。
  • 技術開発、コスト削減の必要性:CCS、水素、革新的技術など、多くの技術は、まだ開発段階であり、コスト削減も課題です。
  • 経済成長との両立:脱炭素化に向けた取り組みは、経済成長に影響を与える可能性があり、両立させることが課題です。
  • 国民の理解と協力:脱炭素化は、国民一人ひとりの理解と協力なしには達成できません。

これらの課題を克服し、2035年度目標を達成するためには、政府、企業、国民が一体となって取り組む必要があります。

まとめ

2035年度の温室効果ガス60%削減という目標は、もはや選択ではなく、未来を守るための必須条件です。地球温暖化の影響は既に深刻化しており、私たちの子孫に持続可能な地球を残すためには、待ったなしの行動が必要です。目標達成には、政府、企業、そして私たち一人ひとりの意識改革と行動変容が不可欠です。今こそ、脱炭素社会実現に向けて、共に歩みを進めるときです。

参考文献

  • 経済産業省ウェブサイト
  • 環境省ウェブサイト
  • 国立環境研究所ウェブサイト
  • IPCC第6次評価報告書

注記

この記事は、2024年12月時点の情報に基づいて作成されています。 最新の政策やデータについては、政府機関のウェブサイトなどでご確認ください。

SBT(Science Based Targets)とは?

SBTとは、Science Based Targetsの略で、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。パリ協定で合意された「世界の平均気温上昇を産業革命前比で2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を達成するために、企業が設定する排出削減目標を指します。Science Based Targets initiative(SBTi)が認定する、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTiは、CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体によって設立された国際的なイニシアチブです。

CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体

SBTが重要視されている理由は、企業の脱炭素化への取り組みを客観的に評価できる指標となるからです。SBTを取得することで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • ブランドイメージの向上
    環境意識の高まりとともに、消費者は企業の環境への取り組みを重視するようになっています。SBT導入は、企業の持続可能性に対するコミットメントを示すことで、消費者の共感を呼び、ブランドイメージ向上に繋がります。
  • 投資家からの評価向上
    ESG投資が主流となる中、SBTは企業の長期的な成長性を評価する上で重要な指標となっています。SBT導入は、投資家からの信頼獲得、資金調達、企業価値向上に貢献します。
  • 競争力強化
    SBT達成に向けた取り組みは、省エネルギー化、資源効率の向上、イノベーション促進など、企業の競争力強化に繋がる効果も期待できます。
  • リスク管理
    気候変動による事業リスクは、今後ますます高まることが予想されます。SBT導入は、気候変動リスクを早期に特定し、対策を講じることで、事業の安定化に貢献します。
  • 従業員のエンゲージメント向上
    環境問題への意識が高い従業員にとって、SBT導入は企業への愛着や誇りを高め、モチベーション向上に繋がります。

SBTは、企業規模や業種を問わず、あらゆる企業にとって有益な取り組みです。

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