「もっとも空爆された国」ラオス

   by Akihiko Sato        
「もっとも空爆された国」ラオス
ー事業を始めるにあたって  
表題の「もっとも空爆された国ラオス」と表現したのはバラク・オバマ第44代アメリカ合衆国大統領の言葉です。
オバマ大統領は、「多くのアメリカ人がラオスでの爆撃の規模に気づいていない」と言った。
オバマ大統領は、ラオスを訪問した最初の米国大統領であり、彼はホストに対して著しく和解的なアプローチを採用しています。彼は、米国の爆撃が「村と谷全体を破壊し、無数の民間人を殺した」と述べました。
その規模は戦争中、米国は9年間、1日24時間、8分ごとに飛行機1台分の爆弾を投下したと言われています。平均して1分間に8発の爆弾が爆撃機によってラオスの上空に投下されました。それは、第2次世界大戦を通じて使用された爆弾の約2倍以上で、その数量は200万トン以上にもなるといわれております。
当時、ケネディ大統領は、表向きはラオスの中立化を支持することを表明しておりましたが、その中立化は、書類上のものと実際のものとは大きく異なっていました。米国のラオス爆撃(1964〜1973年)は、ベトナム戦争で北ベトナムやソ連と同盟を結んだ共産主義者パテート・ラオから権力を奪おうとするCIAの秘密の試みの一部で、表面上は北ベトナムへの補給路を断つとの名目で慣行されたのです。
しかし、ラオスへの爆撃作戦のことは、ほとんどの人はその事実を知らないかもしれません。私も調べるまでは知りませんでした。爆撃作戦では2億8800発のクラスター弾が投下され、その数が第二次世界大戦で使用された数の約倍!であり、未だに約7500万の不発弾が残されたままということに驚き、ショックが体を走りました。
だって、アメリカ合衆国とラオスは戦争をしたことは一度もないのに…
不発弾は未だ国土の3割以上に埋まっており、特に南部の被害が多いそうです。しかしそこはコーヒー栽培の農地に適した場所です。
農業従事者が多数を占めるラオスでは、こうした状況下での農作業は、常に不発弾の危険性と隣り合わせです。ラオス人口全727万人のうち、平均すると毎日1人が不発弾の犠牲になっているそうでうす。
ラオスでのコーヒー産業をはじめとして自然環境へ影響が出ない農業、需要の拡大=小規模農家による農地拡大→収入の安定と環境への貢献を小規模農家支援によって実行していくためには、不発弾の撤去で土地や農地の安全性は最優先事項です。ラオスの現状はとてもあぶなっかしいのです。
不発弾をボール代わりに遊んでいる子供達もいるそうです。
▲【多くの子供が犠牲に】
クラスター爆弾の不発弾はテニスボールくらいの大きさです。
2021年2月4日、ビエンチャン州で、5人の子どもたちが学校から歩いて帰る途中、笑いながら遊んでいました。一人がおもちゃのボールのセットに似たものを見つけ、それを集めて遊び始めた。
10歳以下の子どもたちは、この「ボール」がおもちゃではないことにすぐに気がついた。この爆発で2人が即死、残る3人も重傷を負った。このような事態は決して許されるものではなく、私たちはご家族や地域の皆さまとともに、尊い命が失われたこと悼みを申しあげます。
Children and Bombs: Horrific Story from Laosより
さらにこの不発弾は家族の生活費を得るため子供達が集めてスクラップ工場へ売りにいっているのです。その光景はラオスではめずらしいものではなく、家計をささえるための光景となっているそうです。
▲CBS/RANDY SCHMIDT
ブロン・ヤン君(8歳)は、2016年7月にボールだと思っていたものが爆発した。この写真は榴散弾の傷跡が体に引き裂かれた傷痕です。
単に危ないからと注意して問題は解決できるでしょうか?
その根底には貧困問題も大きく関わっており、1発の不発弾を撤去する料金は日本円換算で約20万円ほどかかるそうです。ラオスの平均年収は80,000〜90,000円と言われていますので、年収の倍以上となるためほとんど撤去できていません。撤去率は1%にもみたない状況です。
ラオスではオバマ大統領と国連の潘基文事務総長のASEAN・東アジアサミット参加の機会を利用して不発弾が開発・経済活動に及ぼす悪影響を軽減するために、独自に「持続可能な開発目標」(SDGs)の「第18目標」を設定しました。これは世界で合意された17項目の開発目標に新たに付け加えられたものになります。
ラオス人民民主共和国の国連事務所の報道発表によれば、今年初めに発効した新たな「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核を構成するものとされました。
ラオスのトンルン・シースリット首相と潘事務総長は2016年9月7日、サミット会合の間に行われた特別サイドイベントでラオス独自の国内SDGsを立ち上げました。
ラオスではSDGsにも盛り込まれるほど、不発弾処理は優先すべき事項となっています。
不発弾処理をするにも費用も技術も機器もまだまだ足りていないのが現状ですが、自分達の力で問題を解決していくことが出来なければ、持続可能とは言えません。
ソーシャルビジネスの定義では「社会的な問題をビジネスで解決する」ですが、キチンと利益を上げ続けることも重要です。
小規模農家を拡大していく先に、不発弾の撤去という必ず行わなければならない工程はビジネス化するべきです。 完全撤去には200〜300年かかるともいわれていますから一刻も早い行動をしなくてはいけません。 それには、作業に必要な知識や技術、機材や資金、ビジネス化していく教育も必要です。
また、貧困問題も同時に解決していくことがとても重要です。
コーヒーも折角ティピカというまぼろしのコーヒーを扱っているにもかかわらず、買取価格は他の豆と大差なく流通されています。
農法もほぼ、自然農法で、農薬も使用していません。コーヒーは1300mを超える高地から平地で栽培されていますが、同じ高さや環境を崩さない農法になっています。ラオスでは雑草を刈り取り、発酵させて堆肥を作りますが、これもその場所で使用します。高地のものを平地では利用しません。作られた堆肥ですら住所移動しない方法になっています。このこだわりは、やろうと思ってもなかなか難しいと思いますが、ラオスではそれが普通ですので、価値として認識されていません。
大地自体も太古は海底であったためミネラル豊富で肥沃な大地であり、地下水の保水量も豊富で将来枯渇する危険地域にも入っていません。
自然の循環が正しく行われている環境はかけがえのない財産ではないでしょうか。
コーヒーもとても繊細です。本来同じ豆であったはずの、モカやブルーマウンテンも産地にインの世界ではテロワール(Terroir)と表現される「風土、土地の個性、ブドウ樹をとりまく環境すべて」はワインの味に大きく影響することから大抵の場合、産地名がワインの名前になっていたりします。このような思想を「Vin de Terroir」とよばれています。その最たる物はフランスのブルゴーニュではないでしょうか。 ブルゴーニュの畑はとても繊細で隣り合わせの畑でも個性が違うとされ更に歴史的背景とし修道士が神に捧げるワインとして観察していた「良い畑」「最上の畑」と区別されのちに法律でも認められる「プルミエ・クリュ、フラン・クリュ」になっていきました。
影響を受けて風味や酸味などに影響を与えています。
もし、ワインのように産地からも価値を高められることができたら!
農地の格付けや、そこでとれたものとしての証明はブロックチェーンにて管理。改善不可能で透明性の高いデータは収穫時からのトレーサビリティー、サプライチェーン管理でトラストレスな環境を実現し、産地とユーザーを直接つなぐソリューション。
このチャレンジをラオスの肥沃な大地と稀少なティピカにてしていきたいと思っています。
ブランディングを強化しながら、世界への需要を高め、環境へ負荷をかけない農法で生物多様性に配慮でき、貧困問題を解決していく。
大きなチャレンジですが、ティピカという稀少なコーヒーの拡大によって、同時に不発弾処理もソーシャルビジネスとして解決していくことを目指しています。
▲この子どもたちの後ろに写っているフェンスは、クラスター爆弾の砲弾でできています。このように、ラオスでは戦争の名残がまだ見られます。
是非、良い環境で作られているラオスのコーヒーも味わってみてください。
Kabbaraはまずはラオスから小規模農家の可能性を世界へ示し、アジアを中心に誇れる未来の可能性と実績を積み重ねてチャレンジしています。
まだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、地球環境再生、不耕起栽培、小規模農家改革などに少しでも興味を持たれましたら、実現のためみなさまの活動へのご参加、お待ちしています。
また、ご質問やご意見随時承っております。
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