世界初の農業廃棄物から作られた衣類

   by Kenta Watabe        
世界初の農業廃棄物から作られた衣類
「SDGs」(持続可能な開発目標)や「サステナブル」「サステナビリティ」という言葉がよく聞かれるようになっています。消費者のサステナブル意識が高まる中、企業にも持続可能なビジネスモデルの構築が求められるようになってきています。
そこで今回は、フィンランドの大手エネルギー会社Fortumと、サステナブルな繊維メーカーSpinnovaが、世界初の麦わらをつかった衣服を開発した事例について紹介したいと思います。
この商品が初めて公開されたのは、2019年にカナダ・バンクーバーで開催された「Textile Exchange Sustainability Conference」でした。ニットTシャツやジャケット、スカートなどが発表されました。商品は、麦わら帽子などに使われている有用な “廃棄物”をあえて衣服にし、しかもそれをエネルギー会社が仕掛けているというのがユニークなポイントです。
商品の原材料のわらは、畑で燃やされることが多く、気候や健康に重大な問題を引き起こしています。そのわらを有効活用し環境に有害な綿の代わりに使用しています。綿花畑を麦畑に変え、麦わらの30%を製品に使うことで、食料用の穀物を生産しながら、同じ量の繊維をより少ない水使用量で生産することができます。
Fortumの関連会社 Chempolis Oyが開発したサステナビリティの高い分別技術で処理したのち、Spinnovaの技術で、植物の細胞壁の骨格成分であるミクロフィブリル化セルロースを機械で直接繊維に転換しています。溶解させたり有害な化学プロセスを用いたりすることもないのです。
商品は「ライフサイクルアセスメント」と呼ばれる環境影響評価の手法で検証を行い、原料抽出、加工、製造の各工程で環境への影響は極めて低いことが確認されています。
ライフサイクルアセスメントとは、商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連のライフサイクルにおける環境負荷を定量的に算定するための手法です。それぞれの単語の頭文字を取り、LCA(Life Cycle Assessment)と呼ばれることもあります。
2050年カーボンニュートラル脱炭素社会を目指すためには、すべての企業や組織が、温室効果ガス排出量をゼロにする必要があります。いつまでにどこをどれくらい削減すれば目標を達成できるのか、という計画を立てるためには、【総排出量】と【排出の内訳(どこでどれだけ排出しているか)】を知ることが必要不可欠です。
この数値を出すために必要なのが、LCA(Life Cycle Assessment)です。
日本の大手電気機器メーカーのキヤノン株式会社でも、製品開発の段階でライフサイクルアセスメントの手法を導入しています。製品の開発から情報公開までを一貫体制で管理できるLCA開発マネジメントシステムを構築し、ライフサイクルにおけるCO2排出量の算定を行うことで、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
わたしたちは、このライフサイクルアセスメントの根拠(価値)を持たせるよう、生産から消費者に届くまでの情報管理には、ブロックチェーン技術を活用するのが最適であると考えています。 そして、トレーサビリティに優れた商品は、生産者の顔、ストーリーを深く感じることができ、消費者のサステナブル意識が高まる今とても重要なことなのです。
わたしたちの活動はまだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、少しでも興味を持たれましたら、実現のためみなさまの活動へのご参加、お待ちしています。
また、ご質問やご意見随時承っております。
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