いつもお読みいただきありがとうございます。Kabbara沼倉です。本日は、カーボンニュートラルの関連のキーワードの中でも、私たちの目指す未来で理想的な「カーボンネガティブ」について事例とともに解説します。前回の記事『ネットゼロ(Net-zero)』のさらに先をゆくテーマとなっています。
前回、私が投稿した記事「今さら人に聞けない『ネットゼロ(Net-zero)』の定義」では、GHGの排出量と削減量(もしくは吸収量)をプラスマイナス実質ゼロにすることがネットゼロの定義であり、カーボンニュートラルで最も重要な課題の1つと解説しました。
もちろん、ネットゼロは現在、私たち人類にとって最重要項目であり、世界中でチャンレンジされています。一方でネットゼロを目指すだけでは、実質ゼロさえも達成できない、と言われています。より高いの目標を目指さなければ、その過程の目標にすら届くことが難しいように、確かにゼロを目指してゼロを達成することは難しいようにも思えます。でも、ゼロよりもさらに高い目標はあるのでしょうか?答えはYESです。
ゼロを超える目標、それが「ネガティブ」
「ネガティブ」という単語は、英語の意味からすると消極的、否定的というように多くの日本人にはあまり良い意味にとらえられないかもしれません。しかし一方で、消極的や否定的という意味以外に、「ネガティブ」には純粋にマイナスという意味があります。
カーボンネガティブ=マイナスの炭素、つまりGHGの排出量をゼロにするだけでなく、結果的にマイナスになるようにすることがカーボンネガティブの意味です。正確に定義すると以下の通りです。
カーボンネガティブ(Carbon negative)とは
経済活動によって排出される温室効果ガスよりも、吸収する温室効果ガスが多い状態を指す。例えば、事業を行う企業が大規模な植林活動をし、大気から取り除かれるCO2が事業に必要な(排出する)CO2を上回った場合は、カーボンネガティブとされる。
代表的なカーボンネガティブの事例
まだ私たちの記憶にも新しい「東京オリンピック2020」。このオリンピックでは、大会を通じて約196万トンという規模のCO2を排出しましたが、東京都・埼玉県を通じた217事業者の参加により、大会に関連したCO2排出量を242万t-CO2超過する438万t-CO2のクレジットによるカーボンオフセットを行いました。つまり、排出量を上回る吸収量を達成したとして、イベントによるカーボンネガティブの代表的な例として世界的な事例となっています。
カーボンネガティブにおいては、一般的には営利活動を行う企業や団体による取り組みが一般的ですが、このようなイベントとしてもカーボンネガティブへの取り組みが今度増えることに期待したいと思います。
※余談ですが、カーボンネガティブは、カーボンポジティブやクライメートポジティブという言い方もされます。基本的に同じ意味合いとなります。