地球温暖化と高層大気の寒冷化:見かけの矛盾とその背後にある複雑な関係

   by Akihiko Sato        
地球温暖化と高層大気の寒冷化:見かけの矛盾とその背後にある複雑な関係

地球温暖化と高層大気の寒冷化:見かけの矛盾とその背後にある複雑な関係

こんにちは、佐藤です。

今回は「地表が温暖化するにつれ、高層大気は寒冷化している──その不測の影響」という8月30日にWIREDで掲載された記事を参考にして作成しています。

近年、地球温暖化の深刻な問題は突然の気候変動などで、より身近に感じるようになったのではないでしょうか。しかし、一方で驚くべき事実が明らかになっています。
地表での温暖化が進む一方で、高層大気は寒冷化が進行しているのです。この二つの現象は一見矛盾しているように思えますが、実は密接に関連しており、その背後には複雑な気象・気候のメカニズムが隠れているといいます。

まず、高層大気の寒冷化や地球沸騰化ということについて解説して行きたいと思います。

1: 高層大気の寒冷化とは

1.1: 高層大気の役割と位置

高層大気は地球の大気圏において、地表から約10km以上の高度に位置し、成層圏や熱圏といった部分に分類されます。この領域は地球の気象・気候システムにおいて重要な役割を果たし、オゾン層や成層圏突然昇温などに関与しています。大気圏は対流圏、成層圏、熱圏など複数の層に分かれており、高層大気はその中でも特に注目すべき領域です。

1.2: 温室効果ガスとの関連
最新の研究によれば、高層大気における温度の変化が、地表温暖化とは逆の方向に進行していることが明らかになっています。この高層大気の寒冷化は、温室効果ガスの増加によって引き起こされていると考えられています。温室効果ガスは、太陽からの熱を吸収して再放出する性質があります。そのため、温室効果ガスの濃度が増加すると、地表付近の温度が上昇しますが、同時に高層大気への熱の伝達も抑制されるため、高層大気の温度は下がってしまいます。

成層圏と熱圏では、2002年から2019年の間に温度が1.7℃も下がっていたというデータがあります。これは驚くべきことで、今世紀末までに、成層圏と熱圏では最大で7.5℃もの温度下降が予測されています。これは、地表の平均的な温暖化率の2倍から3倍の速さで進行しています。

2: 地球沸騰化とは

2.1: 地球沸騰化の概要
地球沸騰化とは、2023年7月の世界の気温が史上最高に達し、地球温暖化の新たな段階が到来したことを表現する言葉です。この現象は、ますます頻発する猛暑や異常気象が、私たちの地球をまるで沸騰させているかのような印象を与えることから生まれました。国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と気候変動の影響を表現するために「地球沸騰化」という言葉を使いました。

2.2: 世界の気温上昇と影響
地球沸騰化がもたらす、世界中の気温上昇とその影響について詳細に探究します。異常気象や熱中症の増加など、私たちの日常生活への影響を検証します。実際に日本でも、この夏の気温が40℃を超える地域も増えており、熱中症による救急搬送も昨年の同時期と比べて2.3倍となっています。

3 地球沸騰化の主な要因

3.1: 温室効果ガスの増加
【温室効果ガスの種類】
・二酸化炭素
・メタン
・一酸化二窒素
・フロン類
ですが、温室効果ガスの中で最も排出量が多いのは、二酸化炭素です。【人為起源の温室効果ガスの排出量割合(2010年)】二酸化炭素:76.0%、メタン:15.8%、一酸化二窒素:6.2%、フロン類:2.0%となっています。
主な原因は化石燃料の消費、森林の減少となっています。最近の大規模な森林火災では犠牲者も出ています。心が痛みます。

3.2: 太陽活動の変動
太陽活動が地球の気候に影響をおよぼす過程には、大きく分けて以下の四つが考えられます。(参照

  1. 全太陽放射のほとんどを占める短波放射の変化による地表面加熱・冷却およびそれにともなう大気循環等の変化である。太陽活動は約11年周期で強弱を繰り返しているが(図1の青く塗られた部分を参照)、その変動幅は地球が受け取る全太陽放射のわずか0.2%にも満たず、全球平均気温への直接的な影響は軽微である。
  2. 紫外線の変化による成層圏の加熱・冷却と対流圏との相互作用である。高度20km付近より上層の成層圏の気温への影響は確かだが、大気波動などを通した対流圏への影響は、内部変動の存在によりシグナルの検出が難しい。
  3. 宇宙線に起因する下層雲を介した気温変化である。例えば、太陽活動が低下すると太陽磁場が弱まり、地球に降り注ぐ銀河宇宙線が増加し、大気中に生成されるイオンが増加、イオンを核として大気下層の雲量が増加することで地球の気温を低下させる、というわけである。物理的には十分考えられるメカニズムではあるものの、根拠として用いられている雲のデータに問題があること、雲凝結核となる物質は他にもたくさん存在すること、などから、現段階では信憑性の高くない可能性のひとつにすぎない。
  4. 高エネルギー粒子に起因する成層圏化学を介した変化である。高緯度域の上部成層圏より上層における化学物質に影響を与えるが、極渦内に限定されることから、対流圏の気候への影響は非常に小さい。最新の研究成果によれば、19世紀までは、太陽活動の変動は、火山噴火と並んで、長期気候変動をもたらす重要な要因の一つであったと考えられるが、20世紀後半における温暖化は主に人為起源の温室効果ガスの濃度増加によりもたらされており、太陽活動はほとんど影響を与えていない可能性が高い。

3.3: 海洋循環の変化
海洋の深層循環は、海水の水温と塩分による密度差によって駆動されており、熱塩循環と呼ばれています。 熱塩循環は、現在の気候において、表層の海水が北大西洋のグリーンランド沖と南極大陸の大陸棚周辺で冷却され、重くなって底層まで沈みこんだ後、世界の海洋の底層に広がり、底層を移動する間にゆっくりと上昇して表層に戻るという約1000年スケールの循環をしています。

地球温暖化等の気候変動の影響により、底層まで沈みこむような重い海水が形成される海域の海水の昇温や、降水の増加や氷床の融解などによる低塩分化によって、表層の海水の密度が軽くなり、沈みこむ量が減少し、深層循環が一時的であれ弱まるのではないかと考えられています。 北大西洋での深層水形成が弱まった場合、南からの暖かい表層水の供給が減り、北大西洋およびその周辺の気温の上昇が比較的小さくなることが指摘されています。

北極海の海氷は温度計による観測から、北極域の温暖化は全球平均のおよそ2倍の速さで進行していることが明らかになっています。さらに北極海の海氷はその面積が減少しているだけでなく、厚い多年氷が減少し、若く薄い脆弱な氷が増えています。海洋循環の変化は地球の気温や降水量に影響を与え、地球沸騰化に寄与する可能性があります。

4: 地球温暖化と高層大気の寒冷化の関係

4.1: 両者の矛盾するように見える関係
地球温暖化と高層大気の寒冷化は一見矛盾しているように見えます。高層では空気が薄くなるため、CO2によって再放出された熱はほかの分子に衝突せず、空中に逃げます。下層では熱がたまり続けているため、その影響も重なって、上層の大気は急速に寒冷化しているのです。温室効果ガスの増加による高層大気の寒冷化は、地表温暖化と並行して進行している現象なのです。

4.2: 温室効果ガスとの共通点
温室効果ガスの増加と高層大気の寒冷化には共通の要因が存在し、その関連性を明らかにします。両者がどのように連動しているのかについて考察します。温室効果ガスの増加が高層大気の温度に影響を与え、この影響が地表にも及んでいます。

  • 温室効果ガスの増加:
    二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスの増加は、大気中の熱を捕捉し、地球の表面温度を上昇させます。これにより、地表温度が上昇し、低層大気が温かくなります。
  • 高層大気の冷却:
    高層大気の寒冷化は、成層圏におけるオゾン層の減少に関連しています。オゾン層は、紫外線を吸収し、高層大気を温暖に保つ役割を果たしています。しかし、化学物質による破壊(特に塩素やフッ素化合物によるもの)により、オゾン層が減少し、高層大気が冷える傾向があります。
  • 太陽活動の影響:
    太陽活動の周期的な変化も、高層大気の寒冷化に影響を与える要因の一つと思われていますが、太陽活動はほとんど影響を与えていない可能性が高いといわれています。
    ※ジェット気流の蛇行に影響されることもありますので、異常気象を引き起こすこともあります。
  • 大気の循環パターン:
    大気の循環パターン、特に極端な気象現象や気候変動に関連する大気の振る舞いも、高層大気の寒冷化に影響を与える要因です。大気の流れや変動が大規模な気象パターンを形成し、高層大気の温度分布に変化をもたらすことがあります。

5: 高層大気の寒冷化がもたらす影響

5.1: オゾン層破壊の悪化
高層大気の寒冷化がオゾン層破壊を促進しています。
オゾン層の破壊は、極成層圏雲でとくに激しく進んでいます。
極成層圏雲は、極低温下でのみ発生し、特に冬の極地方の上空に出現します。しかし、成層圏が寒冷化してきて、極成層圏雲が発生する条件が生まれやすくなってきたといいます。南極上空のオゾン層はCFCの削減とともに回復しつつありますが、北極では事情が違うようです、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(ドイツ、ポツダム)のペーター・フォン・デア・ガテンはいっています。
北極では、寒冷化によってオゾン層の消失が悪化しているといいます。

5.2: 人工衛星の安全への脅威
人工衛星は、運用中の機体と停止した機体を合わせると5,000基以上あるといいます。国際宇宙ステーションもそのひとつ。
確認済みの約10cm以上のデブリは3万を超えます。寒冷化で収縮が加速するほど衝突の危険は高くなっていきます。宇宙空間の環境にも影響を及ぼし、宇宙活動の新たな課題として議論されていくでしょう。

5.3: 地表の気象変動
大気物理学者は、寒冷化が高層の空気の動きを変える可能性がある点と、地表レベルでの気象や気候に影響するという点にも注目し始めています。とくに、成層圏突然昇温と呼ばれる現象です。成層圏における西風は定期的に反転し、それが大きな温度変化につながって、成層圏の一部で2、3日ほど温度が50℃も上昇するといいます。

この現象に伴って通常は空気が急下降し、対流圏の最上層にある大西洋のジェット気流を押し下げる。ジェット気流は、北半球の全体で気象状況を左右するが、それが蛇行し始める。そうすると、この変動が原因となって、さまざまな異常気象が引き起こされます。ジェット気流の蛇行の影響は「私たちが温暖化対策をしなくてはいけない理由とは」こちらの記事でも解説しました。

5.4: 健康への影響
高層大気の寒冷化がオゾン層破壊を悪化させ、健康への影響について
重大な問題のひとつが、成層圏下層にある、脆弱なオゾン層です。皮膚がんの原因となる有害な太陽放射からわたしたちを保護している層です。オゾン層の破壊は、極成層圏雲でとくに激しく進みます。
成層圏が寒冷化してきて、極成層圏雲が発生する条件は北極の寒冷化によってオゾン層の消失が悪化していることです。このまま寒冷化が続けば今世紀半ばにオゾン層が完全に回復するという見込みは、楽観的すぎる予測との声も。

さらに深刻な問題は、影響が及ぶ範囲で、以前のように南極の上空に出現するオゾンソールなら、その下は大部分が無人地帯でたが、北極の上空にオゾンホールが空くと、その下の地域には世界でもとくに人口の稠密な地域が存在する可能性があります。

6: 高層大気の寒冷化への対策の課題

6.1: データの供給が枯渇
人工衛星のほとんどが、活動寿命を迎えつつあるそうです。
例えば、NASAの6基の衛星も、1基が12月に故障し、もう1基は3月に現役を退いた。残りのうち3基も活動停止が近い。「いまのところ、新しいミッションの計画も開発計画もない」という現状です。

コロラド大学ボルダー校の大気物理学者ゲイリー・トーマスは、「高層で何が起きているのかを適切にモデル化できなければ、地上でいろいろなことが破綻する」と述べているように、データの供給の枯渇じょ阻止は国際的な協力が必要です。

6.2: 高層大気への短期的対策
高層大気の寒冷化に対抗するためには、短期的な対策も必要です。例えば、人工衛星の軌道を調整することや、オゾン層保護の取り組みを強化することが考えられます。高層大気の変化に対する緊急の対策が求められています。

7: 結論

地球温暖化と高層大気の寒冷化は、一見矛盾しているように見えますが、実際には密接に関連しており、気象・気候システムの複雑なメカニズムによって結びついています。

高層大気の寒冷化が地球全体に及ぼす影響は多岐にわたり、環境、健康、宇宙活動、生態系に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、温室効果ガスの排出削減と高層大気への適切な対策を推進し、地球の未来を守るための行動が喫緊の課題となっています。

私たちは地球環境の保護と持続可能な未来のために、積極的な行動を取るべきです。地球の大気圏は複雑で奥深い秘密を抱えており、その理解と保護が大切なのではないでしょうか。

時代が要請するカーボンニュートラル社会の実現へ、プロジェクト「Hundred million」PROJECT2030」にて未来へ良いバトンを渡すべく、仲間を随時募集しております!

時代が要請するカーボンニュートラル社会の実現へ
プロジェクト「Hundred million」PROJECT2030

一緒に活動したい!もっと情報を知りたい!という仲間も随時募集中です!

アンケート及び、hmp2030メンバーの参加もお待ちしております。

参加フォーム

まだまだ、これから研究開発が必要な部分も多いですが、DeFi、メタバース、NFT、web3、地球環境再生、土壌改良、温室効果ガス吸収、不耕起栽培、小規模農家改革、カーボンクレジット創出活動などに少しでも興味を持たれましたら、これら実現のためみなさまの活動への参加お待ちしています。

また、ご質問やご意見随時承っております。
下記の【お問い合わせ】よりお願い致します。

社会問題カテゴリの最新記事