
はじめに
「1.5度目標」という言葉を最近よく耳にするけれど、具体的に何を意味するのか、なぜそれほど重要なのか、きちんと理解できていない方もいるかもしれません。今回の記事では、1.5度の定義や背景について解説していきます。
サマリー
- 1.5度目標とは、地球温暖化による気温上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑える国際的な目標
- 目標達成のためには、温室効果ガスの大幅な削減が必要
- 目標達成は、異常気象の抑制、食料安定供給、経済成長など多くのメリットをもたらす
- 企業と個人の積極的な取り組みが目標達成の鍵
- 目標達成後の未来は、持続可能でレジリエントな社会
1.5度目標とは、地球温暖化による気温上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑えることを目指す、国際的な目標です。この目標は、2015年にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択された「パリ協定」において、法的拘束力のある目標として合意されました。

地球温暖化は、異常気象、海面上昇、生態系破壊など、私たちの生活を脅かす深刻な影響を及ぼす可能性があります。科学者たちは、気温上昇が1.5度を超えると、これらの影響が急激に悪化し、人類や生態系にとって壊滅的な状況になりかねないと警鐘を鳴らしています。そのため、パリ協定では、1.5度目標を達成するために、世界の平均気温上昇を「工業化以前に比べて十分に低く保つとともに、1.5℃に制限するための努力を追求する」と定められました。
1.5度目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があります。具体的には、2030年までに2010年比で45%削減、2050年までに実質ゼロにする必要があるとされています。この目標を達成するためには、再生可能エネルギーへの転換、省エネルギー技術の導入、森林保全など、あらゆる分野での取り組みが求められます。
1.5度目標は、地球温暖化の最悪の影響を回避し、持続可能な未来を築くために不可欠です。目標を達成することで、異常気象による災害を減らし、食料や水の安定供給を確保し、生態系を守ることができます。また、新たな技術や産業の創出、雇用機会の拡大など、経済的なメリットも期待できます。
目標達成に向けた世界の現状と、残された課題
1.5度目標達成のためには、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑える必要があります。しかし、残念ながら現状は目標達成から大きくかけ離れています。
世界の平均気温は、既に産業革命前より約1.1度上昇しています。このままでは、現在の各国の温室効果ガス削減目標を達成したとしても、今世紀末には2.7度上昇する可能性があると指摘されています。そして、気候変動による影響は、既に世界各地で顕在化しており、私たちの生活に深刻な影響を与え始めています。

目標達成のためには、多くの課題を克服しなければなりません。まず、各国がより野心的な温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、実行する必要があります。次に、化石燃料依存からの脱却を加速し、再生可能エネルギーへの転換を加速する必要があります。また、CO2回収・貯留技術など、新たな技術開発も不可欠です。さらに、先進国と発展途上国が協力し、公平な対策を進めるための国際協力の強化も重要な課題です。
これらの課題を克服し、社会全体で変革を起こす必要があります。
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目標達成・未達成が私たちの生活にどう影響するのか
1.5度目標の達成は、私たちの生活に直接的、間接的に大きな影響を与えます。
もし目標が達成された場合、異常気象による災害の減少、食料や水の安定供給、健康被害の軽減、持続可能な経済成長などが期待できます。洪水、干ばつ、台風などの被害が軽減され、農作物の生産量減少や水不足が緩和されることで、私たちは安心して生活を送ることができます。また、新たな技術や産業が創出され、雇用が生まれることで、経済的な豊かさも享受できます。
一方、目標が未達成となった場合、異常気象の激化、食料危機、海面上昇、生態系破壊など、私たちの生活は脅かされることになります。より頻繁で激しい災害が発生し、甚大な被害をもたらし、農作物の生産量が減少し、食料価格が高騰するかもしれません。沿岸地域では、海面上昇により浸水し、多くの人々が住む場所を失う可能性もあります。また、多くの動植物が絶滅し、生態系サービスが失われることで、私たちの生活環境は大きく悪化します。
1.5度目標達成は、私たちの未来を守るための重要な鍵となります。
企業や個人の取り組み:目標達成のために企業や個人ができる対策を
1.5度目標達成のためには、政府だけでなく、企業や個人の積極的な取り組みが不可欠です。
企業は、SBTなどの認定取得と同時に、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策を積極的に進める必要があります。太陽光発電や風力発電などを活用し、高効率設備の導入や断熱性能の向上などを実施することで、CO2排出量を削減できます。また、サプライチェーン全体でCO2排出量の少ない製品やサービスを選択し、従業員の環境意識を高めるための教育も重要です。

個人レベルでも、省エネルギー、移動手段の見直し、食生活の見直し、環境に優しい製品の選択など、できることはたくさんあります。節電、節水、省エネ製品の利用、公共交通機関や自転車の利用、地元の旬の食材を選び、食品ロスを減らす、リサイクル製品や環境ラベルの付いた製品を選ぶなど、日々の生活の中で少し意識を変えるだけで、CO2排出量削減に貢献できます。さらに、自身の排出してしまったCO2を、他の場所での削減活動に投資することで、実質的な排出量を埋め合わせるカーボンオフセットという取り組みも有効であり、これらの取り組みを積み重ねることで、温室効果ガス排出量の削減に大きく貢献できます。
まとめ
1.5度目標達成後の社会は、持続可能でレジリエントな社会です。クリーンエネルギー社会、循環型社会、自然共生社会、レジリエントな社会が実現し、私たちは安心して豊かな生活を送ることができます。再生可能エネルギーが主力となり、脱炭素化が進み、資源を有効活用し、廃棄物を減らすことで、環境負荷が低減されます。生態系を保全し、自然の恵みを享受できる社会になり、気候変動の影響に強く、災害に強い社会になります。
しかし、未来への展望は、私たちの行動によって大きく左右されます。希望を実現するためには、課題を克服し、持続可能な社会を築くための努力が必要です。さらなる技術革新により、より効率的で持続可能な社会を実現する必要があります。また、全ての国が協力し、公平な対策を進めるための国際協力の強化も不可欠です。
経済、社会、文化など、あらゆる分野で変革が必要です。そして、先進国、発展途上国、またそれぞれの国内においても、公平に負担が分配される仕組みの構築が求められます。1.5度目標は、地球温暖化の最悪の影響を回避し、持続可能な未来を築くために不可欠な国際的な目標です。目標達成のためには、私たち一人ひとりの意識改革と行動が不可欠です。日々の生活の中でできることから始め、未来のために共に歩みましょう。
SBT(Science Based Targets)とは?
SBTとは、Science Based Targetsの略で、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。パリ協定で合意された「世界の平均気温上昇を産業革命前比で2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標を達成するために、企業が設定する排出削減目標を指します。Science Based Targets initiative(SBTi)が認定する、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTiは、CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体によって設立された国際的なイニシアチブです。
SBTが重要視されている理由は、企業の脱炭素化への取り組みを客観的に評価できる指標となるからです。SBTを取得することで、企業は以下のようなメリットを得られます。
- ブランドイメージの向上
環境意識の高まりとともに、消費者は企業の環境への取り組みを重視するようになっています。SBT導入は、企業の持続可能性に対するコミットメントを示すことで、消費者の共感を呼び、ブランドイメージ向上に繋がります。 - 投資家からの評価向上
ESG投資が主流となる中、SBTは企業の長期的な成長性を評価する上で重要な指標となっています。SBT導入は、投資家からの信頼獲得、資金調達、企業価値向上に貢献します。 - 競争力強化
SBT達成に向けた取り組みは、省エネルギー化、資源効率の向上、イノベーション促進など、企業の競争力強化に繋がる効果も期待できます。 - リスク管理
気候変動による事業リスクは、今後ますます高まることが予想されます。SBT導入は、気候変動リスクを早期に特定し、対策を講じることで、事業の安定化に貢献します。 - 従業員のエンゲージメント向上
環境問題への意識が高い従業員にとって、SBT導入は企業への愛着や誇りを高め、モチベーション向上に繋がります。
SBTは、企業規模や業種を問わず、あらゆる企業にとって有益な取り組みです。