先日公開した記事「アートは人類を絶滅から救うか」の中で紹介したドキュメンタリー映画「腐植土 地球を救う忘れられたチャンス」。この映画の中で、エコロジカルな模範地域を目指すオーストリアのカインドルフ地方での自転車イベントが紹介されています。
温室効果ガスを排出しない自転車を通して、生活の中でエコロジーをもっと意識することを呼びかけるためのイベントです。
自転車が趣味の1つであり、2019年に「ツールド東北」に参加し今年も参加予定(2020、2021はコロナにより中止なので今年の開催に期待)の僕なので、こういったイベントは個人的に興味がある分野です。
このイベントの映像を見てデンマークの取り組みを思い出したので、今回は”自転車”を活用しカーボンニュートラル都市を目指すコペンハーゲンの事例をご紹介します。
2025年までにカーボンニュートラルな首都の実現化を目指すコペンハーゲン
税率は高いですが世界で最も幸福度の高い国のひとつとして有名なデンマーク。デンマークの首都であるコペンハーゲンは、2025年のビジョンを以下のように掲げています。
2025年までに120万トン相当のCO2を減らし、世界初のカーボンニュートラルな都市になる
コペンハーゲンでは、このビジョンを達成するため4つの分野に重点を置いてます。
- エネルギー生産
- モビリティ
- エネルギー消費
- 市当局における効率化
の4つです。
この中でも特に重点を置かれてるのは、温室効果ガス排出の影響が最も大きいエネルギー生産の分野ですが、その次に力を入れているのがモビリティ分野です。
モビリティ分野では、自動車燃料の転換や公共交通機関の利用促進、モビリティマネジメントといった取り組みがあり、その中の1つに自転車の利用促進があります。
環境にも幸福度にも好影響「世界一の自転車都市」
コペンハーゲンは世界一の自転車都市を目指し、市民が自転車に乗りたくなる街づくりに取り組み、自転車インフラを進化させてきました。
例を挙げると以下のようなものです。
- 長距離列車・電車・地下鉄・バスへの自転車の持ち込みが許可されている
- 歩道と車道の間に自転車専用道路と自転車専用信号機がある
- 時速20キロで走ると信号に引っかからないシステム
こういった施策を市民へのアンケート調査を積極的に行い導入したことで、コペンハーゲンでは、自転車が通学・通勤の交通手段の約50%を占めています。それはイコール、車などによる温室効果ガスの排出量が減り、カーボンニュートラル都市に着実に近づいていることを表しています。
気候変動対策×幸福度向上が成功の鍵
デンマークの国としての施策や取り組みは、どんな目的であれ、国民の幸福度を上げるという理念が常にセットになっています。
「気候変動対策のために全員で取り組まないと!」と言って押し付けるのではなく、国としてずっと大事にしてきた国民の幸福度向上の実現をベースに取り組む内容を考えて決定する。そのため、環境に負荷をかけないだけではなく、取り組む人たちの幸福度向上にも繋がるような設計がされています。
自転車の利用促進では、温室効果ガスの削減量が増えるだけでなく、自動車よりも自転車で移動した方が快適で時間と交通費が削減でき、さらに健康にも良いというメリットがしっかりと含まれているからこそ浸透したといえます。
SDGsを達成するには、デンマークのような考え方はすごく重要だと感じます。せっかくSDGsの達成に効果的な施策だったとしても取り組む人たちが何もメリットを感じられないと継続せず、持続可能じゃなくなってしまいます。
カーボンニュートラルなどの気候変動対策には、ゴールに効果的な活動であることはもちろん、その活動を通して人の幸福度向上に繋がる設計をすることが成功への鍵なんだと勉強になりました。
我々Kabbaraもこのような考えを常に持ちながら日々業務を進めていきます。
追伸
僕の地元である長崎県は坂がかなり多い街です。また狭い道も多いため自転車に乗る人は少なく、代わりに原動機付自転車、いわゆる原付(げんつき)が多い街でもあります。その証拠に長崎の原付ナンバープレートは他県よりも一桁多くなっています。
そんな街ですので、コペンハーゲンのように車や原付から自転車に乗り換えるのは難しい現状があります。ですが、電動バイクや電動自転車は年々進化しているので、「普通の原付よりも電動の方が便利だし経済的だよね」ということになれば、カーボンニュートラルシティを実現するのも不可能ではないと思います。
それに、コペンハーゲンが市民と一緒に自転車都市を作り上げたように、市と、そこに住む人が一体となってアイディアを出し合う体制づくりも重要だと思います。”坂が多い街だからこそできるカーボンニュートラルな仕組み”など。
坂道を活用したアイデアは今のところ浮かばないですが、坂に関係なくSDGs達成に向けて良いアイデアがありましたら、ぜひ以下のお問い合わせから教えてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。