「IPCC第6次評価報告書から考える私たちと気候変動」に参加した感想とまとめ パート4

   by Akihiko Sato        
「IPCC第6次評価報告書から考える私たちと気候変動」に参加した感想とまとめ パート4
こんにちは、佐藤です。
11月30日、IPCCシンポジウムに参加しましたのでどのようなことが語られていたのか?を数回に分けて報告させて頂いています。
今回はパート4ということで、基調講演3、「気候変動とその利活用の連携に向けて」報告書の知見の届け方や利用の仕方について」気象研究所、高藪出さんの登壇された内容になります。パート1はこちら パート2はこちら  パート3はこちら
目次5で予定していましたパネルディスカッションの紹介はまとめていたデータに不備があったため、今回は見送りさせて頂きました。今回のパート4で完結となります。
目次
  • 基調講演1 IPCCの概要
田辺清人(IPCCインベントリータスクフォース共同議長)
  • IPCC概要のおさらい
  • 基調講演2 IPCC AR6 WG2報告書~影響・適応・脆弱性
ハンス=オットー・ポートナー (IPCC第2作業部会共同議長)
  • 基調講演3 IPCC AR6 WG1報告書~自然科学的根拠
ヴァレリー・マッソン=デルモット(IPCC第1作業部会共同議長)
  •  ・報告書の知見の届け方や利用の仕方について
  • パネルディスカッション モデレーター 田辺清人(IPCCインベントリータスクフォース共同議長)
  • まとめ

基調講演3にて、「報告書の知見の届け方や利用の仕方について」気象研究所高藪出さんが登壇されました。

3.基調講演3 「気候変動とその利活用の連携に向けて」

高藪出(IPCC AR6 WG1第10章LA/気象庁気象研究所気候・環境研究部第1研究室主任研究官)
第6次報告書の第10章「世界規模と地球規模の気候変化のつながり」を担当。
ワーキンググループ1は「クライメート・チェンジ」ということで、気候変動のさまざまな気象学的知見を集めているところでありますが、これが実際の生活にどのような影響が出るのか?を調べるためには、
  • 私たちの生活にどういった影響があるのか?
  • 対策の効果はどのように現れるのだろうか?
  • 緩和策の効果はどのように現れるのだろうか?
ということを調べなければなりませんが、大きなギャップがあります。
このギャップをどうやってうめていくのか?ということをワーキンググループ1からかなり強いプッシュがあり進めてまいりました。
本日の内容は「IPCCワーキンググループ1 第6次評価報告書の紹介になります。
これは、ワーキンググループ1で、どのように様々な気象学的証拠から、ユーザが取れる気候情報に、情報を蒸留してきたか、ということを示した、スケマティックなダイアグラムです。
上から下に情報が流れています。IPCCワーキンググループ1AR6で強調されていますのが、複数系統の証拠を使ったと言うことです。
図に書いてございますように、左から衛生データ一を始めとする観測データ、2番めが気候予測のモデルデータですね、そして、3番目が文献、4番目がメカニズム研究です。5番目はクライメティックエキスパートになっています。
不確実性の評価をしつつ、知見をまとめていくということが行われました。
これをまず第一弾の上流で、これによって気候情報が出来ています。
ヴァレリー共同議長からもご紹介がありした、CIDs「クライメットインパクトドライバーズ」(好影響駆動要因)と言うものが出てきております。
これを使いまして、今度はユーザと共同で気候情報を作成するというものが下の段になります。 最終的な目標はユーザーが求める気候情報なんですが、そのためにはユーザも参加し、CIDsを翻訳しつつ、情報を出していくということになっています。
CIDs気候影響駆動要因とは、温暖化にともなって、色々なところに影響しますので、気温上昇だけではなく、様々な気候変動要因、洪水などどのように影響を受けるかなどを評価したものになります。
IPCCでは33個の要因を並べ、5つのカテゴリー1)乾燥化、2)乾燥化・一部地域で極端現象励起、3)温潤化・一部地域で降水慮・火災気候が増加、4)湿潤化・一部地域で洪水増加、5)一部地域で極端な湿潤気象・降水量増加、に分類しています。
右下にありますように、気候変動駆動要因とは、「暑熱」・「寒冷」・「干ばつ」・「雪氷」・平均降水量の減少・増加」・「外水氾濫・内水氾濫」・「火災気象増加」と分類しています。
温暖化とはどこでも起こるものなので、主に水の循環の変化によって、世界は5つのカテゴリーに分かれるということがここに示されています。
中央上部に色分けされた地域ですが、①と②の茶色と黄土色のところは、将来乾燥化が進むであろうという地域。 ③〜⑤の緑、ピンク、紫のところは、温暖化によって降水がむしろ増えるということが示されています。
赤枠で囲ってある、「EAS」イーステーシアですが、我々も含まれているところなのですが、左下に詳細がありますが、温暖化して雪氷が減少する。内水氾濫は増加、一部地域では降水量が増加し、火災気象も増加するということになっています。
IPCCワーキンググループ1には、双方向的に図を描くサイト「インターラクティブアトラス」が準備されています。
こちらは、そのエグザンプルを示したものです。
世界のマップの上にオブザベーション(観測データ)、CMIP5、CMIP6(第5、第6次評価報告書)のデータセット、CORDEXという地域ごとに詳細をダウンスケールしたデータセットを選んできて描画することが可能です。
将来どのくらい温度があがるか?などの相対値、絶対値になっています。
図のように、地域を選択して様々な評価図を作成することが可能です。
例えば、左下の(b)が示しているものはストライプといい、モデルすべてで温度上昇がどうなったか?を示した図になります。
関心のあるかたは、お試し下さい。
ワーキンググループ1の第12章では、CIDs候影響駆動要因を使い、ワーキンググループ2、対策策定とのリンケージを作っています。
横軸が、CIDs気候影響駆動要因で、左から「暑熱」・「寒冷」・「干ばつ」・「雪氷」・平均降水量の減少・増加」・「外水氾濫・内水氾濫」・「火災気象増加」です。
縦軸が、ワーキンググループ2のセクターで、例えば赤枠で囲っている「漁業と養殖」のセクターを見てみますと、「Coastal」海岸、「Open Ocean」外洋に影響を及ぼしていることが分かります。
もう少しまとめたものが、こちら。
アウトリーチ活動、つまりレポートが出たあとに、「適応・緩和」の各セクターに応じて、CIDs気候影響駆動要因の情報をまとめ直して整理して示したものです。イントロダクトリーな情報になります。
海洋生態系の漁業と養殖の内容を紹介します。
水位上昇、これは各シナリオによって、何mまでいつ水位が上がってくるか?ということを示しています。
海洋熱波・海洋酸性化・北極海域の氷の融解、などというように、海洋生態系、漁業と養殖に、深く関わってくるワーキング1グループのレポート結果が、完全にまとめられていますので、このような結果を参照しつつ、
ワーキング1グループ、ワーキング2グループをくっつけていく作業になるかとおもいます。
まとめにはいっていきますが、こちらはFAQの中に出ている図になりますが、簡単に説明致します。
Distillation、つまり情報の蒸留とはどういうものか?が示されています。
理想的には、「あまたの利害関係者」ステークホルダーが、情報の蒸留に積極的に参加してもらいたい、受け手ではなく、自分たちも積極的に参加する形で蒸留のプロセスをやっていただくことが、情報の流通がよくなる原因になるかと思っています。
「健康」・「農業」・「水資源」・「交通」・「漁業」・「生態系」・「人の居住地」・「再生可能エネルギー」というあまたの利害関係者が積極的に入ってやっていくことが今後望まれることであるということが、第6次報告書で我々が主張していることになります。
・学際的な協働がこの分野では望まれている。
これについては、定期的なレポートの他に、スペシャルレポートがいくつか出ております。
1.5℃レポートなど。ワーキンググループ1、2、3が共同で作っておりますが、こういう形がヒントとなっていくのではないか?と個人的には思っております。
基調講演3 気候変動とその利活用の連携に向けてのまとめ
ワーキンググループの結果を各々発表するだけでなく、それをかけ合わせた予測をして関係があるであろう、ステークホルダーが積極的に参加していくことが重要とのこと。
IPCCのレポートは、わたしたち一般人には難しい内容ですが、もう少しだけ興味を持ち、使えるツールを利用したり、身近な環境を調べたり、興味ある項目を調べたりすることで、わたしたちが感じた気持ちをこういったレポートに反映させていくということがとても重要であり、それは可能なんだ!ということが分かりました。
気候変動はどこでも起こっていることで、地域や環境によってその状況が変わりますし、未来の予測という自分の地域の未来はどういう影響でどのように変化していくのか?をイメージ出来ることはとても収穫でした。
もちろん自分の知識向上も大事ですが、気候問題などに関心がある友人とデータを基に話し合うというのもやってみたいと思いました。
パネルディスカッション編が出来ませんでしたが、次回以降、挽回出来るよう頑張ります。
今回はパート4にまたがる内容となりましたが、最後までお付き合い頂きまして誠にありがとうございました。
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